
インタビュアー 矢部美穂(タレント)
塚田 私は一人っ子だったこと、周囲からの期待や環境もあり、住職を継ぐことが当然のことのように考えて育ちました。10歳で得度、14歳のときには愛知県の豊川稲荷で安居し3年間修行させていただきました。その後、駒澤大学、大本山永平寺、駒澤大学大学院を経て、26歳で正安寺に戻り8年ほど副住職として勤めた後、34歳のときに住職になりました。
矢部 僧侶として、エリートコースを歩まれたのですね。
塚田 振り返ると私は環境に恵まれていたのだと思います。父であり師匠でもある先代から教えを受けられたことに対して、本当に感謝しています。例えば「誰しも必ず長所もあれば短所もある。だから極端に尊敬したり、嫌ったりするのは間違いだ」と言ってくれて、私の考え方に良い影響をもたらしてくれました。
矢部 偏った見方・考え方をするのではなく、何事も客観的に判断すると良い、ということですよね。バランス感覚の良い、素晴らしい教えだと思います。
塚田 その教えのおかげで、尊敬する父のやり方のすべてを真似るのではなく、私が得意な分野に関しては、最も効率的な方法を探求しながら先陣を切って行動していく、今のスタイルができあがったのだと思います。具体的には、建物の修繕を行う際にも、施工会社から提案された木材を選ぶと割高になってしまうため、自分で調達し、工事だけお願いするようにしました。そのおかげで、従来の3分の1の価格で修繕ができ、檀家様の負担も抑制できました。
矢部 今まで木材について詳しい住職さんに出会ったことがありません(笑)。塚田住職は、何事にも勉強熱心なのだとわかります。
