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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

食と住で地域を支える
街づくりのプロデュース

 

人々の笑顔のために、食と住をプロデュース

 
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石黒 あらためて、賀川社長のご経歴についてお聞かせください。
 
賀川 私はかつて、半導体産業と深くつながっている大手電子部品メーカーに長年勤務しておりました。半導体は現代のものづくりには欠かせない主食のような部品であるという意味で、“産業の米”とも呼ばれています。以前に勤めていた企業では、その半導体がより正確に動作するよう精度を高める、いわば“米を育てて活かすための水”というべき、世界でも最先端の独自技術をもっていました。そのため、スマートフォンやEV、いわゆる電気自動車等を扱う世界に名だたるメーカーとも取り引きしていたんです。
 
石黒 そこからなぜ、飲食店の運営や街づくりといった、それまでとはまったく異なる分野に挑戦しようと思われたんですか?
 
賀川 それは一般のお客様に対する仕事がしたいと考えたからです。以前の私の仕事はBtoB、つまり対企業だったんですよ。幅広い業務経験からスキルを磨いてきたキャリアを積めたことは、前職の会社に対して深く感謝しています。しかし、自分自身の中で何かやり残したような感覚と社会貢献への願望がありまして。例えば、自社で売った商品を使って他のメーカーがスマートフォンをつくったとしても、私にとってはそのスマートフォンを手にした一般のお客様の反応を見る機会がありませんでした。そこで、一般のお客様の反応や笑顔を直接見たいと思いから、一念発起して起業したんです。和の伝統を踏まえた住環境づくりとともに惣菜やスイーツを取り扱うお店を開くことを決めた理由も、お客様がおいしいものを食べたときには、きっと素敵な笑顔があふれるだろうと思ったからなんですよ。
 
石黒 すごく素敵な理由ですね。先ほどいただいたさつまいもラテは本当においしくて、私も自然に笑顔になりましたよ! 賀川社長が事業を行ううえでこだわっていることも教えてください。
 
賀川 それは、私が好きな言葉である「不易流行」の考え方ですね。不易とは変わらないもの、流行とは変わるものを指します。伝統や本質といった変わらないものを軸にしながら新しいものも取り入れ、両方がそろって初めてうまくいくという意味なんです。この一角に建つ建物が体現しているように、現在の時代に即した取り組み方や最新の技術を取り入れつつ、前橋市をはじめとした地元である群馬県が持つ歴史と伝統を未来に残していきたいと考えています。
 
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石黒 古くからの伝統と新しい価値観の両方を取り入れるという部分に、夫の音楽への取り組み方と共通の考え方があるように思いますね。夫は能楽の最大流派である観世流の家に生まれ、お囃子や鼓、笛といった、日本の伝統的な楽器と音楽に触れて育ってきました。LUNA SEAはロックバンドですが、夫がつくる楽曲のドラムパートは西洋のリズムではなく、日本古来のリズムであるため、通常の五線譜に表せないそうなんです。でも、和のリズムと西洋のロックの融合が、彼にしかできない独特の魅力を生み出していると思うんですよ。
 
賀川 それはまさに不易流行の考え方ですね! 伝統や本質を大切にしつつ、現代の生活や時代の流れに合わせていくことで、より良いものが生まれてくるという考え方を軸にして、私も地域に貢献していきたいです。