一般的に電気店を利用する主な目的は、電化製品の購入や修理の依頼といったところだろう。しかし、その枠を越えて想像以上のサービスを提供する店が存在する。山口県下関市のパナどっとちゃやまがその好例で、電化製品の取り扱い以外に、リフォームや水回りトラブルの解消、補聴器の相談、果ては「電球1個でも」と小さな商品の配達にまで対応してくれる。「町の見守り隊」を目指す同店の代表を務める平原一浩氏に話を聞いた。
老舗店の跡取りとして地域に貢献
平原 当店は1955年に茶山電機として創業し、私で3代目です。といっても、私は10代の頃は保育士を目指していました。ただ、父に反対され、保育とは関係のない大学に進んだんです。当時は家の経済状況はボロボロで、ある日、母親が500円玉貯金をしている姿を見ましてね・・・。私の学費を払うために苦労していると気付き、私の大学への意識も変わりました。そして、学費以外のお金は自分で・・・とアルバイトに励み、50種類の仕事を経験するうちに、家を継ぐ決意も固まったのです。
亀山 さまざまな経験をなさったからこそ、今があるのですね。しかし、家業を継ぐといっても最初は大変だったのでは?
平原 そうですね。父とは少し険悪でしたし(笑)、最初から厳しいノルマがありましたから。商品を売るためにチラシを大量につくって近所に粘り強く配布したところ、激昂した方から「ラジオを1個買うからもうチラシを入れるな!」とご連絡がありました。おうかがいすると、ご立腹しながらラジオを1個買ってくださり、「もう来るなよ」と言われたのですが、私はその翌日に「調子はどうですか?」と明るく訪問したのです。すると「おもしろいやつだ」と気に入っていただき、初めてのお客様ができました(笑)。