庭園づくりと管理・メンテナンス業務で信頼を集める柴崎庭園は、屋号を掲げて日は浅いが、実はその道35年のベテランの柴崎猛代表が腕を振るう。師匠から弟子へと受け継がれた確かな技をベースに据えつつ、幅広い層のニーズに応えるため、設計段階のデジタル技術導入にも積極的に取り組み、造園業の新しい可能性を追求している。そんな柴崎代表に、これまでの歩みと今後について語ってもらった。
勤務先から業務を引き継ぎ再出発
柴崎 はい。私は大学を出た年に三橋庭園設計事務所という会社に就職し、代表の三橋一夫氏に師事しながら、35年にわたって業務をしてきました。しかし、2021年に師匠が亡くなってしまい事務所を畳むことになったため、長年のお客様を私が引き継ぐ形で柴崎庭園として再出発したんです。
千葉 思いがけなく代表の立場になられたのですね。もし、そうした突然の事情がなかったとしても、いつか独立するおつもりはありましたか?
柴崎 多少はありましたけれど、実際問題、自分でイチから仕事を見つけてやっていくのは難しいだろうと思っていました。前の会社では1年を通じてかなりの数のお庭の仕事に携わっていましたが、そういう環境にいる同業者は少ないようなんです。よその造園業者さんに聞いても、管理業務がほとんどで、造園の仕事は年に1、2件あるかないかということでした。それなら無理に独立するより、今まで通り師匠の下で仕事をしていたいと思っていたんです。ですから、結果として、師匠の仕事を引き継ぐという恵まれた立場で独立できたのは、本当にありがたいことです。