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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

時代と共に進化し続ける
大道具・舞台美術製作

 

人気テレビ番組などで数々の実績

 
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矢部 携わったお仕事の中で、特に印象に残っているものはありますか?
 
村岡 自分が子どもの頃によく見ていた、いわゆる長寿番組の最終回近くの仕事に携われたことですね。自分を含め、長年多くのファンに愛された番組の舞台セットなどを製作できたのは、この業界に身を置く者として、やはり嬉しかったです。また、国民的アイドルのラストライブのステージセット製作を手がけたのも非常に印象深い仕事の一つでした。テレビだけでなくネット配信が広がり始めて今に至る、時代の変遷のようなものを肌で実感できるのもこの仕事の魅力だと思っています。
 
矢部 誰もが一度は目にしたことがありそうな人気番組やアーティストのライブにも携わるなどして、数多くのご経験を積んでこられたんですね。
 
村岡 ものづくりの経験と言えば、忘れられない出来事がもう一つあります。それは2011年に発生した東日本大震災の際に、関東地方の大工さんや建設業に携わる職人さんたちが現地での復興事業に参加することになり、人手不足になったんです。そこで、弊社にもリフォーム施工などの依頼があり、さまざまな現場で作業を行いました。そのおかげで、技術的にも大きく飛躍できたと思います。
 
矢部 実際の建設現場での経験が、舞台セットをつくる技術にもフィードバックされているわけですか。それにしても約30年もの間、この業界でお仕事されてきた中では、ご苦労も多かったのではないかと思います。
 
村岡 はい。私がまだ駆け出しの頃は本当に激務で、家に帰れないどころか、寝る暇もないほど働くことも多々ありました。セットの裏やテレビ局内のいたるところで、気を失ったように寝ているスタッフの姿もよく見かけましたね。
 
矢部 近年は働き方改革などの影響もあり、一般的に長時間労働は制限されていますよね。でも、確かに2000年代頃までは、テレビ制作にかかわる業界ではそれが当たり前の光景だったのを私もよく覚えています。
 
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村岡 そうですね。でも、大変ではあったものの、仕事そのものはとても楽しかったんですよ。ただ、以前に私が所属していた舞台美術会社の社長が非常にずさんな経営をしていまして、福利厚生がきちんと整っていませんでした。そのような経験もあり、弊社のスタッフには私と同じような辛い思いは決してさせないよう、より良く働くためのサポートに力を入れています。