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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

建築現場に欠かせない
墨出しの魅力を伝える

 

墨で正確な目印を付けていく

 
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鶴久 実を言うと私は子どもの頃、実家の建て替えの際に墨出しをさせてもらったことがあるんですよ。それがとても難しい作業だったのをよく覚えています。あらためて、墨出しがどのようなお仕事なのか、教えていただけますか。
 
曽根 簡単にご説明すると、建物を建てるときに設計図をもとに、基準となる“通り”と“高さ”を決め、続けて壁や床・天井などさまざまな位置を正確に決め、墨で印や線を付けていく仕事です。これは更地の段階から必要な作業なんですよ。私たちはまっさらな土地を測量し、1本目の杭を打つ場所から割り出して目印を付けていくんです。
 
鶴久 建物を設計図どおりに正確に建てるためにも、とても重要なお仕事なんでしょうね。その作業は、建物が完成するまで続くのでしょうか。
 
曽根 はい。建築中も常に建物の長さや高さ、水平の状態などを測量機器を使い正確に墨出しをしていきます。大工さんや内装を手がける職人さんなどは、誰しもが私たちの墨を使って工事を進めるんですよ。墨出しとは、いわば設計図を原寸大にして現場に書き移す仕事です。どんなに高いビルも、この作業を繰り返して完成するんです。
 
鶴久 大工さんやほかの職人さんたちが担当する作業の、いわばガイドラインとなる大切な作業なわけですか。とても膨大な時間と、相当な知識と長年の経験が必要なお仕事のように思いますよ。
 
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曽根 ええ。墨出しは建設現場において、着工から竣工まで作業を続ける唯一の職業です。だから、長いときは一つの現場に5年近くも通うことがありますね。また、墨出しはほかの建築分野の知識も求められる奥が深い仕事なんです。一人前になるまで5年から10年はかかります。工事中に急遽、設計が変更されることもありますので、万に一つのミスも許されません。ですから、常に技術を進歩させる必要があるんですよ。
 
鶴久 設計図を見て、完成した建物を完璧にイメージできる能力が欠かせないのでしょうね。音楽のレコーディングも、譜面を見ただけで曲をイメージできなければなりません。墨出しの職人さんとミュージシャンはとても似た職業だと感じます!