飯田 地元・愛媛県弓削島で4年間、幼稚園教諭を務めた経験があります。その後、勤務した呉服店で主人と出会い、結婚を機に大阪に移りました。教室を始めたきっかけは、ご近所の方から「子どもに絵や習字の宿題を教えてくれませんか」とお願いされたことです。同じようなお願いをされる機会が増え、その他に作文も教えてほしいとのご要望が多かったため、教室を構えたんです。
狩野 周囲からの期待に応える形で、今の教室スタイルが成り立っていったのですね。実際にどのような指導をされているのですか?
飯田 習字はバランスよく書くことを重視して指導しています。漢字なら、部首とそれ以外の部位との比率のバランスさえしっかりとしていれば、個性が出ても美しい文字になりますからね。筆記具は主に筆ペンを使用しています。毛筆の使用機会が滅多にない現代では、実用習字のほうが役に立つうえに、筆遣いは常に同じですから。
狩野 生徒さんの習字作品を見ると、みんな伸び伸び書いているなと感じます。阪神タイガースのコーチの名前を書いている子もいますね(笑)。では、作文やお絵かきはどのように教えているのでしょう?
飯田 作文は私が当日出したお題を、なるべく学習時間内に自由に書いてもらいます。お題は「自分が思う日本」など、子どもたちには難しいものもあり、できるだけ自分の考えで組み立てるよう教えています。絵も、うまく描くより、しっかり観察したり、自分なりに表現したりすることを重視していますね。例えば、こちらは私が模写した浮世絵をもとに自由にイメージを広げてもらい、好きな色を塗りながら線を描き加えるなど、アレンジしてもらったものです。
狩野 ほう、この絵なんて、飯田代表が描いた美人画をハワイ島だと解釈して完成されていますね。いやぁおもしろい! 大人にはできない発想だ。