タージン　お話をうかがっていると、訪問看護では患者さんの意思を非常に尊重なさっているように思いますね。
 
鈴木　おっしゃるとおりです。医療を受ける“主人公”は、あくまでも患者様やそのご家族ですからね。医師や看護師などの医療従事者が、その主導権を取ってはいけないと私は考えています。患者様にとって、最期を迎える瞬間は病院が良いのか、それともご自宅が良いのか、ご自身が本当に望んでいるとおりに判断していただくのが最も大切なんです。ですから、私たちは「こういう方法もありますよ」とか、「このような看護ができますよ」と、患者様の選択の幅を狭めないようにご提案するんです。
 
タージン　確かに、私も選択肢は多いほうが良いと思います。患者さんにとっては自分の人生の問題ですから、どのような医療を受ければ一番安心できるか、自分自身で決めたいものですよね。
 
鈴木　ええ。もちろん、それが可能なのは医師や医療機関の協力があればこそです。当施設は、同じ加西市で訪問診療を手がける、小野寺医院の小野寺建介先生と連携してサービスに取り組んでいます。心のケアも重視する小野寺先生との出会いは、私にとってはまさに奇跡でした。小野寺先生との共感がなければ、現在の充実したサービスはできなかったと思います。それに、共に協力し合うことでスキルも上がり、「ご自宅で安心していただけるように全力で支えますよ」と言えるようになったんです。
 
タージン　すぐ近くに在宅ケアに理解のあるドクターがいて、お互いにリスペクトしながら取り組んでいるわけですか。患者さんにとっては本当に心強いですね！