日本の歴史や文化が世界から注目を集める昨今。多くの観光客・参拝客が訪れる寺院・神社などの建造物を、縁の下で支えているのが宮大工だ。中でも、千葉県にある日本木工株式会社は、国宝や重要指定文化財など、歴史的に価値の高い建造物の修理も手がけている。大工として豊富な経験を持つ染谷武將代表取締役は、先人の知恵が散りばめられた歴史的建造物を後世に残し、自身が培ってきた匠の技を惜しみなく後進に伝えている。
貴重な歴史的建造物の修理も担う
染谷 はい。寺院建築・神社建築・歴史的建造物などの新築や改修を手がけています。ちょうど職人が工房で作業をしています。よければ見に行きますか?
矢部 ぜひ、拝見したいです! 街で建築現場を遠目に見ることはあるものの、実際の作業を間近で見ることはありませんから。わぁっ、広い!
染谷 つい最近までお寺の新築の本堂を手がけていたので、その材料となる木材がたくさんあったのですが、すでに現場での作業に移ったので今はがらんとしています(笑)。
矢部 ここにある木材はとても歴史がありそうですね。
染谷 ああ、これは現在修理工事中の建造物の部材の一部で、建物自体はおよそ300年前に建てられたものです。
矢部 300年前!? そんな昔の建造物が残っているとは驚きます。それにしても、そんな貴重な建造物を工房に持ってきて、大丈夫なんですか?
染谷 大丈夫ですよ。現地では設備などが充分ではなく、効率の良い作業ができないので、特別な許可をいただいて工房に移しています。