三浦　アスリートを応援する取り組みの中には、引退後のセカンドキャリアを支援することも含まれてくるわけですか？
 
後藤　はい。セカンドキャリアについては近年、一部の派遣会社なども積極的に後押ししているものの、その中身は企業を紹介し、就業させたらそれでおしまい、という傾向にあります。でも若い時期をスポーツ一辺倒で過ごしてきた人たちは、仕事を覚える以前に社会人としての常識に乏しい場合が多いんです。これでは、就職できても先行きが心配ですよね。そこで弊社では、ビジネスの基本的なルールやマナー、金銭管理などの習得に絞ったセミナーを開くなど、セカンドキャリアの構築に役立つ支援活動を行っています。
 
三浦　それはいい！　実際、セカンドキャリアの展望がないことで、プロスポーツを目指すこと自体が一般的にとてもリスキーに見えていると思うんですよ。子どもたちのなりたい職業ランキングでも、スポーツ選手より公務員などの安定した職種を選ぶ傾向が強まっていて、寂しい気持ちにさせられます。Jリーグでは定期的な講習会でセカンドキャリアについて考える機会を設けていますが、それでも何らかの理由で突然プレーできなくなって収入を絶たれ、苦労する人が多いのも事実。この問題を放置していると、社会の中でスポーツ選手の価値がどんどん下がってしまわないかと心配です。
 
後藤　そうですよね。まったく同感です。
 
三浦　ずっと夢を追いかけてきたアスリートからすれば、急に別の世界で働かなきゃいけなくなっても、すぐに現実を受け入れるのは難しいはずです。だからこそ、後藤社長の活動によって現状に一石が投じられて、充実したセカンドキャリアを歩めるようになる人が増えてくれることを期待します。何より、スポーツって人間形成にも役立つ素晴らしいものだと思っているので、もっともっとこの国の社会に根付いてほしいんですよ。