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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

成功体験の喜びを自信に
児童発達支援サービス

 

中学校・特別支援・盲・ろう学校で指導

 
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スポーツの上達を目指す「みらいplus」の室内の様子
山本 鏑木代表は、長年教員として勤めてこられたとお聞きしました。
 
鏑木 そうですね。38年間、教員として勤めました。私の教員経験は、特別支援学校からスタートしまして。当時は指導マニュアルというものがなかったため、毎日が試行錯誤でしたよ。例えば、身体が不自由な生徒に、どうやって体育を指導するのか・・・体操はどう教えればいいのか、などの課題が常にありましたから。この時期に「身体を動かすことが難しい生徒にどうやって教えるか」と意識し、模索し続けた経験が、現在でも指導のベースになっています。
 
山本 私も未経験の子にバレーを教えることがありますが、それ以上に難しそうですね。
 
鏑木 もちろん通常の学校でも多くの経験を積ませていただきましたよ。ある中学校に赴任した際は、持久走の授業で“1500m自己申告タイムレース”というものを実施しました。日々の練習ではタイマーを使って自分のタイムとペース感覚を身体に覚えさせ、テストではタイマーが見えないようにし、事前申告したタイムとの誤差で評価するんです。
 
山本 順位だと速い子に勝てなくて諦めてしまうこともあると思います。でも、自己申告制だと自分自身がライバルになるんだ! 自分に打ち勝つことは、その子の人生においても重要な経験だと思います。
 
鏑木 そうなんです。一番嫌がる持久走を積極的に取り組んでほしくて考えました。ダラダラ走る生徒がいなくなり、持久走が苦手だった生徒も喜んで走っていました。教科書会社が提供する教育研究誌にも掲載されましたよ。
 
山本 それはすごい! どうすれば全員が力を発揮できるか考えていらっしゃるのですね。
 
鏑木 「自信を持たせたい」という思いが根本にあります。盲学校の水泳ではスタートの飛び込みを教えました。視覚に障がいのある生徒たちは「高いところから飛んだら危ない」と言われているので、飛び込みなんてもちろん経験がありません。ところが、プロセスを踏むとすぐにマスターし、プールからどんどん飛び込んで遊ぶようになったんです。
 
山本 できることが増えると嬉しいですし、自信になりますよね。ただ、万が一ケガをしたら大変です。保身のために無難な指導をする方が多いかと思います。しかし、鏑木代表は違うのですね。
 
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鏑木 安全に指導することは当たり前ですし、万が一のことも考えていますので、生徒たちも「すぐそばに先生がいるから大丈夫」と勢いよく飛び込んできてくれました。通常の子たちと同じ経験をさせてあげたくて、ろう学校の野球部の顧問になった際には、ろう学校の大会だけでなく、高野連の大会にも参加しました。「社会に出たら耳が聞こえる子たちと競うことになる。勝負しようや!」と言うと、生徒たちも張り切っていましたね。結果はコテンパンにやられたものの、生徒たちはすごく満足そうな表情をしていました。立派な球場で通常の高等学校の生徒と対戦した経験は、一生の宝になったのではないでしょうか。