神奈川県横浜市の金沢産業団地に事務所を構えるアールグラット株式会社では、中小企業の各種コンサルティングやセミナーの企画を手がける。代表取締役の真鍋緑朗氏は、この団地でX線装置の開発・製造を続けるアールテック株式会社の代表を務めながら、工業団地協同組合の理事長まで務めた人物だ。その経験をもとに立ち上げた同社では「中小企業を支援することで、地域を盛り上げたい」と話す真鍋社長に、その思いについてうかがった。
経営者と組合の理事長経験を糧に支援の道へ
真鍋 もともと私は、横浜市金沢区にある国内有数の産業団地内に本社を置く、X線装置の開発・製造会社、アールテックの代表を務めていました。父がその会社の創業者だったんですよ。
名高 そうでしたか。別会社の2代目だったのですね。
真鍋 ええ。その前からさかのぼると、早稲田大学の商学部を卒業後に、まずは社会の荒波に揉まれようと大和証券に入社しましてね。証券会社の業務としては一番厳しい中小企業の営業担当となり、飛び込み営業をしながら、歯を食いしばって努力しました。この時、頑張れば必ず結果はついてくるということを実感することができましたね。そしてその2年後にアールテックに入社し、製造から経理・総務まであらゆる業務を経験。専務として事業の指揮も執り、40歳で代表に就任しました。
名高 2代目と言っても、地道な努力を重ねてこられた末の代表就任だったんだ。それに不思議と人間は40代になると、様々な転機が訪れますよね。
真鍋 そうなんです。43歳の時には、国内有数のこの産業団地にある組合の1つ、横浜電機・精機工業団地協同組合の理事長に就任しました。やがて組合の代表として、横浜市とのつながりも太くなり、企業向けに新しい制度が施行されると、真っ先に「利用してみないか」と声をかけていただけるようになったんです。
名高 そういったことが増えていくと、自然と知識やノウハウも集積されてきますよね。
真鍋 その通りなんですよ。いつしか横浜市等から「企業向けセミナーの講師をしてほしい」という依頼をいただくようになりましてね。企業活動を支援する制度の解説や、経営をレベルアップさせるためのセミナー講師としても活動するようになりました。それでついにアールテックのほうは昨年退社し、同年11月に弊社を設立したんです。その年には大学での講義やテレビの取材で、事業の紹介や経営に対しての取り組みについてお話しすることもさせていただきました。