手芸業界のニーズを掴み
工場と小売店の間を紡ぐ
父からの英才教育がすべての土台に

塚本 父が繊維関連会社を共同経営していたんです。もっとも、進路に関しては自由で、「後を継げ」と言われたわけではないのですが。兄も貿易の仕事をしていますしね。その兄のおかげで、私が輸出入業まで手を広げられました。
矢部 兄弟で仕事の話ができるって、素敵な関係だな。お兄様が自身の道に進まれた中、どうして塚本社長はお父様の後に続いたのでしょう?
塚本 高校の時に、父の会社でアルバイトをするうちに、純粋に「楽しい業界だな」と感じたんです。その思いを父に伝えると、それまで「我関せず」だった父が突然目の色を変えて、「この工場で修業してこい」と(笑)。
矢部 厳しいかもしれないけれど、息子の将来を考えてのことだったのでしょうね。
塚本 親心は後になるほど感じられますよね。2年後、父の会社で働くようになってからは特に厳しくて、仕事中や人前で叱られるのはもちろん、電話中でも構わず怒鳴りつけられましたね(笑)。しかも、仕事が終わって家に帰っても、私を「塚本」と苗字で呼ぶんですよ。
矢部 かなり職人気質だったんだ(笑)。でも今はお父様に感謝していると。親心を感じられたエピソードがあれば、ぜひお聞かせください。

矢部 自分の手で一人前に育て上げたいというお父様のお気持ち、わかります。受け継いだ中で、今も大事にしていることも多いのでは?
塚本 父は相手の役職を問わず、分け隔てなく接していました。その姿勢を今も強く尊敬していて、私も今でも一般職の気持ちのまま、社長職がプラスされた、という感覚でいます。お客様も私を「社長」ではなく「塚本さん」とお呼びになりますよ。
矢部 肩書や身分で相手を選ばない姿勢。とても大事だと思います。
塚本 今は仕事をするうえで、先立った父に対して「恥をかかせられない」という思いが強いですね。
矢部 親子で仕事をしたからこその思いですよね。現在の塚本社長のご活躍を、お父様も喜ばれているんじゃないかな。