大切な服を預かる使命と
感謝の心でニーズ満たす
ハード・ソフト両面の改革で効率化
城 ソフト面・・・と言うとつまり、社員の方々の意識改革という意味でしょうか。
岡山 はい。最初に工場内のベルを取り外しました。それまでは正午と15時にベルが鳴り、鳴ればすぐ休憩に入るというのが常だったのですが、その日の処理目標を定め、それが終了してから休憩に入るという規則に改めたのです。
城 なるほど! 納期を確約するからには逆算してスケジュールを定め、それを遂行することが必要となります。ただ、口で言うほど簡単ではないと思います。
岡山 そうですね。もちろん、休憩をゼロにするわけにはいかないので、それも踏まえた目標設定が必要です。それに、責任者である工場長が進捗状況の全てを把握するのは無理な話。そこで、従来は各社員の分担業務になっていたものをチーム分担制にし、リーダーに厳密なスケジュール管理をさせるようにしました。つまり、個人の担当業務が終わっても、チーム全体の業務が終わっていなければ未完であるという認識に改めたんです。
城 個人の力が合わさったチームだからこそ、大きな成果を得られるという手法ですね。リーダーの采配が重要だと思いますが、人選はどのように行われたのですか。
岡山 当社では女性のパートさんが多いんです。それも、子育て中の若い女性が多いので、リーダーには子育てが一段落したベテランママさんを起用することが多いですね。例えば若いママさんの場合、子どもの急な病気だとか、学校行事とかで仕事を休むことがあります。そうした事情をできるだけ理解してあげられる、同じ立場を経験しているベテランママさんをリーダーに起用するというわけです。
城 女性が女性を率いることで、働きやすい環境が構築されているわけだ。
岡山 新米のママさんが育児に行き詰まっていたら、ベテランママさんが相談に乗るなど良好な関係が築かれているようです。そうやって悩みを乗り越えた若いパートさんが数年後、自らリーダーになって若いママさんを率いてくれるという形が理想ですね。
城 組織が効率的に動く仕組みがあり、なおかつ良好な雰囲気で保たれていると、働く人たちも仕事をしていて楽しいだろうなぁ。
岡山 実は先頃、アルバイトとして働いていた高校3年生が、来年、2016年の4月から正社員として働きたいと申し出てきたんですよ。志望動機を尋ねると、「みんなが楽しそうに仕事をしている姿を見て一緒に働きたいと思ったから」と答えてくれました。同じ仕事をするなら楽しんでもらいたいと思いますし、スタッフがイキイキとした挨拶をしてくれることが私の楽しみでもあるのです。だから経営者として、スタッフが働くうえでの目標設定の仕方や、楽しく働いてもらえる工夫とその環境づくりをし続けなければならないと考えています。