名高 宮原社長は医薬品やその原料、医療機器の輸出に関するコンサルタント業をなさっているそうですね。まずはプロフィールから教えてください。
宮原 私は、東京大学大学院薬学研究科製薬化学専門課程を修了後、大手の化学系企業に入社しました。そちらではバイオテクノロジーを使った医薬品やその原料、例えばアミノ酸・核酸を生産するためのプラントの設計や研究開発・市場開発に従事していたんです。名高さん、CMなどで「タウリン配合」とうたわれる栄養ドリンクをご存じでしょう? 実は、そのタウリン(アミノ酸の一種なんですよ!)をドリンク向けに使用できるように量産体制をつくる業務にも関わりました。
名高 それはすごい! タウリンをはじめとする医薬品やその原料の研究開発・市場開発に携わっていたんですね。そして現在は、これまでのノウハウを生かした輸出業務などにも関わっているわけだ。
宮原 はい。医薬品やその原料を輸出しようとした時、障壁となるのが相手国の規制や手続きです。例えばタウリンは化学合成品と天然品がありますが、化学合成品は国によっては医薬品にしか利用できず、食品には使用できません。つまり、日本企業が製品を輸出する場合、相手国の規制や手続きをクリアすることが必須条件となるのです。私は欧米各国での市場開発を経験してみて、その辺の事情を知ることができました。
名高 宮原社長は、非関税障壁と言われるような他国との貿易取引における高い壁を次々に乗り越えられた実績をお持ちなわけですね。そして、その極めて専門性の高いノウハウを生かして起業されたと。
宮原 照れますけど、そういうことです。2011年に勤めていた企業を退職し、その3ヶ月後にこの会社を設立しました。事業の柱は3つ。1つ目は、米国の製薬会社やコンサルタント会社の依頼による、日本企業のプラントや製品を監査する事業です。米国の大手製薬会社は日本から大量に原料を仕入れますので、当社が米国企業の立場になって、日本企業の製品が米国の基準をクリアしているかどうかを監査しているのです。
名高 それは規模の大きな話だなぁ。アメリカの製薬会社と日本企業との間に入って橋渡しをなさっているなんて、豊富な知識と経験がないとできないでしょう。