B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

アドラー心理学で
人や企業の変革を支援!

 

社長の顔色を見ながら発言するのはよそう

 
141015_k1968_g03.jpg
 アドラーの考えはサッカー選手のメンタル強化にも役立ちそうな、非常に前向きでいい考え方だなぁ。
 
渡邉 シンプルだし健全な心理学だと思います。もう一つの特徴は、「自分の運命は自分で切り拓くものだ」という自己決定の理論ですね。我々は環境の犠牲者でもなければ、運命に支配されているわけでもありません。自分の人生を建設的に生きるか、非建設的に生きるかは自分で判断するんだということです。
 例えば会社ではよく、「あいつが悪い」とか「あの部署のせいで仕事がうまくいかない」などと自分以外の何かに愚痴をこぼすものです。でも、その問題に対してあなた自身は何をしてきたか、どんな心構えで仕事をしてきたのか。アドラー心理学ではそこを突き詰めて考えます。
 
 なるほど。そうした愚痴って、自分の仕事がうまくいかないことの言い訳ですよね。人は弱いものだから、どうしても他者に責任転嫁して逃げたくなる。サッカーでも小学生に教えていると、昔は自分で考える力のある子が多かったのに、最近は与えられた課題はするけど、それ以外のことにチャレンジしない子が多くなったと感じます。どうしてなのか考えると、「失敗するのが怖い」とか「責任を持たされるのが嫌だ」という気持ちがあるからだと思うんです。
 
141015_k1968_ex01.jpg
アドラー心理学の理論を軸に、参加者のアイデアを引き出す
渡邉 城さんがおっしゃるような子供たちと、似たような気持ちで会社勤めをしている人も多いんです。ただ、そういう人ばかりになってしまうと、会議がただの報告会になってしまったり、社員が社長の意見に同調するだけだったりとか、仕事のうえでも責任転嫁をするだけで、企業経営にとっては弊害になりかねません。
 そこで私は「社長の顔色を見ながら発言するのはよそう。一人ひとりが問題解決に責任を負おう」という合意を全員から得たうえで会議を進行していくわけです。そうすると少しずつみんなから当事者としての本音が出てきて、その本音から出た小さなヒントが思わぬアイディアを生むことにつながります。
 
 僕もコーチの仕事では似たようなことをしていますよ。僕は子どもたちには練習の狙いなどを全ては説明しません。コーンの並びを少し複雑にしてシチュエーションを変えるなど、自分たちで試行錯誤して、対応策を考案できるような練習環境を提供するよう心がけています。こちらから教えるだけなら簡単ですけど、子どもたちには考える力や失敗を恐れず自信を持ってプレーできるようなメンタルを養ってもらいたいですからね。