三浦 ヒノキの良い香りがします。湘南にぴったりの、オシャレで、木のぬくもりが感じられる事務所ですね。
小澤 ありがとうございます。ここは展示場も兼ねて自社でリフォームした事務所でして、今年2014年初夏にオープンしました。壁にモザイクタイルを施すなど、女性の目線を意識したアート感覚を取り入れたので、「アートリフォーム」と名付けています。外装は私が施工し、看板やトイレのドア、テーブルやスリッパラックなどは全て当社の大工の手づくりです。会社そのものは戸建や集合住宅の建築、増改築、リフォーム、店舗企画及び設計・施工を行う工務店として、創業36年目を迎えます。
三浦 ここには、世界にたった一つの手づくりの作品がたくさんあるんですね。心が落ち着きます。小澤社長が大工になった経緯も教えてください。
小澤 私の家は代々大工の家系でして、祖父も父も大工でした。私も木の香りに囲まれて育ちましたが、親に「大工になれ」と言われたことは一度もないんです。でも、休みの日に手伝っていると、道具や材木のことを少しずつ覚えるんですよね。今でも思い出すのは、小学校6年のある日、大きな農家の上棟式を手伝いに行った時のことです。棟梁がまだ子供の私を一人前の大工として扱ってくれましてね。嬉しかったなあ。
三浦 いっぱしの仲間として認めてくれたんだ。それは嬉しいですよね。
小澤 はい。ただ、大工という仕事は覚えることが多くて大変です。大工は現場で働くいろいろな分野の職人から何でも質問されますし、その全てに答えられなければいけません。いっぽうで技術は日々進歩しますから、全てを把握できるまでに何年かかるか。私自身、案件によってはいまだにわからないことが出てきますからね。
三浦 大工さんも大変なんだなあ。ちなみに、今回事務所をオープンされたのは、どんな理由からですか?