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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

生態学や土壌学を駆使し
自然環境調査で社会貢献

 

新ジャンルに挑み続け、風を吹かす

 
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石黒 幅広いジャンルを橋渡しするのは、フットワークが軽くないとできませんよね。
 
 はい、そういう意味では、大きな組織でないことがメリットになりますね。与えられた課題が自分の得意分野を越える場合は、むしろ新しいことを勉強するチャンスですから、必要に迫られるたびに勉強して、取り込んできたつもりです。
 
石黒 その展開、すごく共感します。私は料理が好きで、野菜のことを知りたくなって野菜ソムリエの資格を取ったら、その方面でのお仕事が来るようになったんですよ。料理教室で話す仕事がラジオでの話し方に活きたこともありました。
 
 いいですね。それに、資格を取ると、知っていたことについても、見方が変わるでしょう。
 
石黒 はい、勉強して知識が増えるとその先の問題が見えてきて、ガラッと考え方が変わりますね。
 
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事務所には関連書籍が並ぶ。幅広い知識が必要な仕事だ
 たとえば 「土木工学」 と 「土壌学」 は、どちらも 「土」 を扱いますが、見方が違うんですね。土木工学的に正しい施工が、木を枯らすこともあるわけで、そうならないように緑化方面の情報や見方を導入する。逆に土木の情報から緑化側でできる対策を検討する。
 
石黒 確か、検証する仕事だけではなくて、提案もされるんですよね。まだ結果がないことについて提案されるのって、不安はありませんか? 自分の提案によって失敗するか、成功するか2パターンしかないわけだから。
 
 何が確実に言えることで、どこから不確定かをはっきりさせることが大事ですね。「ここまでは確実に言えるけど、ここはわかりません。わからないところをはっきりさせるためには、自分ならこういう方法が提案できます」 と。こういうふうに進めていけば、成功か失敗か、一か八かという話ではないですよね。
 
石黒 ないですね、確かに。
 
 できるだけ、一か八かにならないように、起こり得る危険性を先に気付いてチェックするように提案できるのが、いい技術屋だと思います。そうやっていけば、どんな結果でも有意義に生かすことができるのです。
 
石黒 ただ、すごく勉強が必要ですよね。
 
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 すごくというより、まず 「一通り」 ということですね。「これを忘れてた」 ということがないように。ただ、異分野と仕事をすると、思わぬことがあるんです。
 たとえば、先ほど出た汚泥を炭化する案件の時に、こんなことがありました。下水の処理にはアルミニウムを使います。アルミは土の中にもたくさんあるのですが、本来は植物にとって毒物です。ただ、普通はほとんど溶け出さないから問題になりません。ところが、特殊な条件が重なって溶け出したことがありました。栽培試験でこれに気付いて実害は防げましたけど、当初は私もその汚泥がアルミで処理されているとは知らなかったんです。結果的には新たな検討項目が見つかって、今後に役立つことになりました。
 
石黒 シビアな世界ですね・・・。最後に、これからの目標を教えてください。
 
 たまには、単純に楽しい仕事もしたいですね。純粋に自然を探求して、結果的に人に役立つような。異分野をつなげることもやっていきたいですが、人的交流も活発にして、手詰まり感がある問題にブレークスルーをもたらせたらと考えています。
 
 
 
「仕事を楽しむ」とは‥
未知のモヤモヤをクリアにしていくのがこの仕事の楽しみです。だから、他の分野にも踏み込むのですが、やり過ぎて失敗しない限界をわきまえながら課題に取り組んで、依頼者の期待以上の仕事を残していきたいですね。若い時の失敗を生かして。
(森徹夫)
 
 :: 会社概要 :: 
   ■ 社名 有限会社森技術研究所
 ■ 本社 〒225-0024 神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町1168-2 センタービル306
 ■ 事業内容 自然環境調査/農学系・生物系の各種調査及び試験研究/環境問題解決に向けた分野横断的コンサルティング
 ■ 設立 平成4年3月
 ■ ホームページ http://www4.ocn.ne.jp/~mgk