正しく漢方を現代、そして
未来の医療への架け橋に
大和久 ありますよ。肝タイプの人は、一般的には行動的で負けん気が強いです。五行ではそれぞれ “肝=怒” “心=笑” “脾=思” “肺=悲” “腎=恐” という感情が割当てられています。人間はこれらの要素を全て持っていますが、タイプによってある程度の傾向は現れます。
たとえば、同じ 「怒る」 でも、心タイプの人は色の属性でいうと赤です。怒ると顔を真っ赤にする、言わば瞬間湯沸かし器。直ぐにカッとして手に負えなくなるけど、意思よりも感情が優先されているから冷めるのも早い。いっぽう、肝の色属性は青です。サッと血の気が引いて額に青筋を立てて怒る。理知的なので怒らせるとこちらのほうが後始末が大変。この肝タイプの人が、怒ってもいないのに青筋が立っていたとすると、「精神が過度に緊張している状態にある」 と考えるんですよ。
また、疳蟲の子供などは眉間に青筋が立っていたり、白目が青かったりしますから、一目でわかります。分析して条件に合った漢方を使えば、精神状態は落ち着いて、制御が利くようになる。まぁ、本質的な性格までは変わりませんけど。
急病対処こそ漢方の真骨頂
相原 漢方って、時間をかけてゆっくり効くイメージがあります。そうすると、そのぶんだけ料金も高くなっちゃいますよね。
大和久 いや、そんなことはないです。漢方は即効性がない、慢性病には効くが急性病には使えないというイメージは誤解です。急病対処こそが漢方の真骨頂。漢方の古典にあたる 『傷寒論』 は急性熱病の治療学書ですからね。効かなかったら、それは狙いを外しただけのこと。症状にもよりますが、急性病は1~2服、慢性病なら1週間か2週間で反応、効果が現れるのが普通です。
あと、漢方は何かと体質論ばかりが強調されますが、体質など全然関係なしに具体的な症状のみを狙うことも多々あります。理論に関してはあらゆる場面で最も重要なのは虚実で、他にも表裏、寒熱、気血水など、「どこで、何が、どうなっているのか」 の病気の分析に使うモノサシは場合によって様々ですから。
効きが穏やかで副作用の心配がないなどというのもとんだ誤解。それはドクダミなどの民間薬の話です。漢方は基本的に複合剤で、分量も0.1g単位で規定があります。無反応ならこれ幸いで、下手をすると悪化させてしまうこともある。誤用の際は、お近くの専門家をお訊ねください。