B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

トピックスTOPICS

ビジネス 企業が取り組むべき新型インフルエンザ対策とは vol.2 そのとき、企業の対応は 企業が取り組むべき新型インフルエンザ対策とは ジャーナリスト

ビジネス

第2回 そのとき、企業はどう対応したか、これからどう対応したらいいか。

 

企業トップがとるべき5つの対策

 
 では、強毒性の新型インフルエンザを想定して、企業のトップがとるべき対策とは何だろう。
 大きく5つにまとめてみた。
 
  1. 社員と顧客を感染から守る体制をつくる
     新型インフルエンザの感染経路には、季節性のインフルエンザと同様、「飛沫感染」と「接触感染」がある。飛沫感染の場合は、感染者がせきやくしゃみをするとウイルスを含む飛沫が2mは飛び散り、マスクをしていない場合は鼻やのどの奥まで入る可能性がある。感染者はマスクの着用が必要だし、非感染者はかからないためにもマスクをする必要がある。
     接触感染は、感染者が触れたドアノブや電車のつり革などに接触し、感染するケースである。外から戻ったらアルコールによる消毒や30秒以上のていねいな手洗いが必要。ドアのノブなど、多くの人が触るところも丹念な消毒が必要だし、訪問客には建物に入る前に手洗いや体温の測定をお願いするケースも出てくるだろう。場合によっては、訪問を断ることも考えられる。顧客には頼みづらいことだが、「新型インフルエンザはお互いに守る」という観点から了解してもらうべきだ。
     
  2.  感染した社員が休める体制をつくる
     感染した社員が無理をして出社し、他の社員にうつしてしまっては会社全体がダウンしてしまう。「カゼぐらいで休むな」というのは禁句。安心して休めるように、緊急時の会社のバックアップ体制や、社員が出社できないときの在宅勤務体制をつくっておくべきである。これは新型インフルエンザ対策だけでなく、地震や水害など他の災害時にも役立つものだ。
     
  3. 緊急連絡体制をつくっておく
     トップの判断で、急遽、オフィスを閉じたり、時差出勤させなければならなくなるケースも考えられる。携帯電話を使ったツールなど、いざというときにいつでも活用できる社内の連絡システムを作っておく必要がある。 
     
  4. BCPの策定・・・・重要業務の特定と事業継続の仕組みづくり
     新型インフルエンザ対策を自社のBCP(事業継続計画)の中にきちんと策定する。業務の優先順位を3~5段階ぐらいに分け、最低限必要な重要業務とそれを可能にする人員を確保するなど、対策の基本方針を出す。さらに、特別予算を組み、担当者を決め、策定プロセスを直接管理する。これはトップの仕事である。大企業の場合は、役職員が感染しても業務を代行する人材がいるだろうが、中小企業は、トップだけが経営の全体を把握しているケースが多い。自分自身が感染して出社できないケースも想定し、トップなしでも事業が継続できるような体制を作っておくべきだろう。
     
  5. 的確な情報把握と迅速な意志決定
     新型インフルエンザに関しては、まだ不確定な要素が多く、時期や地域によって流行が拡大する恐れもある。誤った情報やデマが流れる可能性もある。企業がとるべき行動について、公式なサイトや自治体、マスコミ報道などから情報を入手し、的確な判断を行わなければならない。
     朝、自宅で靴をはく際に「感染拡大」というニュースを見たとき、それが自分の地域であるなら、会社を開けるのか閉めるのか、朝の1時間で何をどこまでやるか、即座に指示できるような判断力と決断力を持っていることが必要だ。こうした体制がきちんととられるなら、パンデミックが起こっても事業を縮小したり停止しないで切り抜けることができるのではないだろうか。
 
 
 

 プロフィール 

古俣愼吾 Shingo Komata

ジャーナリスト

 経 歴 

1945年、中国生まれ。新潟市出身。中央大学法学部卒業。広告代理店勤務の後フリーライターに転身。週刊誌、月刊誌等で事件、エンターテインメントものを取材・執筆。2000年頃からビジネス誌、IT関連雑誌等でビジネス関連、IT関連の記事を執筆。2006年から企業の事業継続計画(BCP)のテーマに取り組んでいる。

 

関連記事

最新トピックス記事

カテゴリ

バックナンバー

コラムニスト一覧

最新記事

話題の記事