「きれい」は「売れる」の
ライバルだろうか?
何にピン! ときて撮ったんだっけなぁ。
すっかり忘れてしまったけど、確かこの写真は、メルボルンかオークランドで撮ったんだろう、と思う。
グリーンとブルーのグラフィカルな配置に
「きれいかも」と感じたんだろうな。
*
海外へ出かけて、特にヨーロッパ系の街を歩き、マーケットを覗いたりすると、不思議な感覚になる。きっとみんなそうなんじゃないかな、なんか、きれいなんだよね。好みもあるけど、整理されてる、一緒にいるけど混ざり合って濁ってない印象。
この写真にしても、水のコーナーだったんだろうけど、見えてるブランドは3種類。8フェイスに3種類! えっと、日本でいえば、小売店の店頭は激戦区だからね。商品棚の一列をフェイスと呼んでいて、たとえばコンビニの商品棚のフェイスをいくつ取れるか、たとえばキリンやサントリーなんかのメーカーには
死活問題なわけです。
その店頭にやっと商品開発から苦労していよいよ新発売! どんなにがんばった自慢の商品も、棚に並ばなければ売れないし、目立たなければ売れない。新商品の登場でフェイスが4つだ、すんげー! で、2週間したら2フェイスに減らされた、1フェイスになるかもとの
悲観的予測もチラホラ、ライバルメーカーが盛り返してきて、超ガッカリしたりの一喜一憂劇。スペースは限られてるからその陣取り合戦はメーカーの最前線なんだ。
でね、日本の商品棚は、たとえば飲料の場合も1本1本がそれぞれに最大限主張するパッケージにできあがっていて、それらが隣り合わせになってガチャガチャやる、
まるでいろんな鳥や動物をひとつの檻に入れた小さな動物園みたい。それはそれでたのしくて、僕は好きだけど、
つまり、ここにふたつの考え方ができます。
ひとつは、商品も選んで配置も考えて、美しくてセンスの良い商品棚、
もうひとつは、とにかく多彩な商品を並べ尽くしてそのガチャガチャの混沌がフリージャズのような雰囲気を生むタイプ。
もし、あなたがお店をやるとしたら? どっちのタイプをがんばりますか?
たぶん、ひょっとすると、売り上げは、ガチャガチャのお店の方が勝利するんじゃないかな。実際僕はそんなお店をやったことがないので、ほんといい加減な想像で申し訳ないけど、でも、きっとそう。
脱線だけど、以前聞いた都市伝説みたいな面白い話、
ある商品を店頭で安売りをしたんだって。で、きれいに置いて、血の涙を流しついでに血尿も流す価格をでかでかと表示した。したら、どうなったと思う?
そう、まったく売れなかった。で、ある人がその商品を、店頭のワゴンにグチャグチャの山にして、
ラーメン二郎のキャベツみたくして、価格をつけた。
商品は一瞬でなくなった。らしい。なんかわかるような気がする。目的へのフィーリング、ってやつだよね。
でも、さっきの話、僕なら、やっぱり、がちゃがちゃでない方を頑張ると思うんだよなぁ、ま、それぞれの考え方と好みだろうけど。センスで勝負、おしゃれで勝負、選びやすさで勝負! そんなんじゃ、まったくない、そんなんじゃ、あっという間に閉店セールだ。
品揃えで勝負をしていると、安さで勝負していると、いまはよくても近い将来行き詰まるんじゃないかね。品揃えや安さでは、大手の店には敵わないし、逆立ちしたって、逆転もできない。それぞれの商品カテゴリーにおいて、自分の目で選んでラインナップしていく。お客さんの獲得を近隣だけでなく広く手を伸ばしていく。
手間はかかるだろうけど、実はそれは商売の面白みだったりするし、個人の個性がお店の個性にもなるんじゃないだろうか。
*
実は、もっと先に考えを進めると、お店のコンセプトをどうするか?
他の店とどんな差別化で生き残っていくか? ということにもなるけど、
その話はまた次回!
(今回のキーワード)
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巨大な敵とは
戦う軸をずらさないと
惨敗
執筆者プロフィール
永澤仁 Hitoshi Nagasawa
クリエイティブディレクター/run!run!! planning!!! 海の家 店主
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経 歴
セブン-イレブン(忌野清志郎さんが歌うブランドの根幹を担う「近くて便利」コミュニーケーション)、バイク王(雨上がり決死隊バージョン)、キリン氷結(発売から6年間)、シチズン(広告&商品開発)など数々のクリエイティブを責任者として手がけ、そのすべてをジャンプアップさせた実績を持つ。競合プレゼンでは独創的なスタイルで3年半無敗を記録。受賞歴は国内外100以上。強い、正しい、面白い! 国も地域も企業も商品もお店も人も、めざすゆたかな高みへ。
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(2015.1.28)