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◆世界のシェアを奪え! 初の国産ジェット旅客機

 
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Mitsubishi Regional Jet  画像提供:三菱航空機株式会社
 日本初の国産小型ジェット旅客機、「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」がこの10月、待望のロールアウト(関係者へのお披露目)を迎える。また、同じく今月中にはH2Aロケットによる静止気象衛星「ひまわり8号」の打ち上げが行われ、11月末にはさらに、「はやぶさ2」の打ち上げも予定されている。長く不作が続いてきた日本の航空・宇宙産業に、実りの秋がやってきた、と言えそうだ。
 
 MRJを製造する三菱航空機株式会社(愛知県名古屋市)は三菱重工業株式会社(東京都港区)の子会社である。三菱重工と言えば、名機として名高い零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦」を作った会社としても知られている。国産航空技術の遺伝子を受け継ぐMRJにも、「世界の空を制覇する名機に」という期待は高い。先進の空力技術や、新開発された「ギヤードターボファンエンジン」などの先端技術により、競合機種に比べ約20%もの燃費抑制に成功。原油高により燃料費が高騰する中、すでに日本航空や全日空などをはじめ、世界各国の航空会社から約400機の受注が集まるなど、スタートは上々だ。
 
 技術力により名機を開発できた、という自負も強いのだろう。三菱航空機は「今後20年間で約5000機の需要が予想されるリージョナルジェット機市場でシェア半分を目指す」という豪気な目標を立てている。
 
 

「ひまわり8号」や「はやぶさ2」も

 
 同じく空へと羽ばたく技術では、宇宙産業も熱い。静止気象衛星「ひまわり8号」を載せるH2Aロケットの打ち上げは、2001年の初打ち上げ以来、今回で25回目となる。これまで24回中23回成功しており、成功率は世界のライバルに並ぶ。
 ちなみに、競合ロケットの成績を見ると、米国のデルタⅣは26回中25回、アトラスⅤは48回中47回、欧州のアリアン5は73回中69回となっており、いずれも95%以上の高い成功率を誇る。いっぽう、コスト面でのメリットをアピールするロシアは、ソユーズ2が37回中34回、運用歴の長いプロトンMにいたってはここ10年に限っても94回中85回と、成功率では一段落ちる。
 H2Aが目指すのはもちろん欧米機種の路線だ。打ち上げ成功を重ねる中、技術力において欧米と肩を並べるようになった日本のロケットにも、世界に売り込む商機が見え始めている。
 
 宇宙を舞台とする技術には、もう一つ世界に誇れる成果として、映画にもなった「はやぶさ」がある。設計や組み立てといった「川上」だけでなく、材料や部品といった「川下」の町工場までが高い技術を持つ日本の産業構造は、「はやぶさ」の成功で強みとして注目された。11月の「はやぶさ2」打ち上げが成功すれば、世界に向けてその強みを再度アピールできるはずだ。
 
 

活かされていない日本の“土台”

 
 これまでもたびたび語られてきたように、日本の製造業を支えてきたのは、高い技術力である。特に、川下の中小企業までが世界レベルの開発力や品質管理能力を持つ国は、数少ない。この“土台”は、自動車や造船、ハイテクなどの市場でライバル関係にある韓国や中国にも存在しないものだ。そういった確固たる土台を保つ日本にとって、製品の単価が高く、しかも確実に安全性を維持するためネジの1本にまで高い技術力が求められる航空・宇宙産業は、本来なら最も活躍しやすいフィールドのはずだった。
 
 ところが現状を見ると、技術はあれどシェアの獲得にはつながっていない。たとえば航空機部品の市場は、世界で年間生産高が50兆円にのぼる巨大マーケットだ。このうち、日本の生産高は1兆2500億円程度に過ぎない。さらには、輸入が勝っており、年間6000億円もの貿易赤字を生む分野になっている、との報告もある。 
 
 
 

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