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私の「失せ物・落し物」と
企業の物品管理・文書管理・印鑑管理等の重要性

 
 

はじめに

 
 日本経済新聞の朝刊に文化欄があり、「私の履歴書」と同じ紙面なのでほとんど毎日読んでいます。今年の5月22日朝刊は 「失せ物落し物」(PDFファイル) のテーマでエッセイストの伊藤礼氏(父は文芸評論家・伊藤整氏) が書いておられます。これを読んでいて、ん!、、全く同感。私と同じような人がいるもんだ!と感じ入り、新聞の切り抜きが手元にあるんです。
 私が書いたなら、どうなるのだろう?との思いから 「失せ物・落し物」 渡辺俊之バージョンを書いてみることとしました。こんな話書くのは年取ってきた証拠、まあ、年寄りの戯言と思って聞いてやって、いや読んでやってください(今回は伊藤礼氏の文章に当てられて、ときどきイカメシイ言葉使いになっています。ご理解ください)。
 
 伊藤礼氏の友人の家では一日の三分の一は夫婦で探しものをしているという。それを聞いて胸をなでおろしたのは伊藤礼氏だけではなかろうが、探し物に費やす時間ほど無駄な時間はないですね。作業効率の向上で一番重要なのは、手待ち時間や段取り時間を如何に少なくするかにある。作業を進める前に、物を探していたのでは、作業効率の追求などする資格もない。そこで私の 「失せ物・落し物」 の話から、物品管理、文書管理等の話にも思いを巡らせてみることとします。
 
 

1、    私の失せ物・落し物


(1)携帯電話の紛失4
 電話が掛かってきたらすぐ応対できるように、ベルトからすぐに外せる形式の携帯電話保持器具を使用していたことがある。簡単に取り外しができて便利ではあるものの、失くし易いこととの裏腹な関係がある。私の場合、タクシーの中で落とす場合が多く、失くしたことに気づいた後、自分の携帯に電話を掛けると、「はい!○○タクシーの大井営業所です。」 と出てくるので、携帯の所在がわかる次第。しかし、タクシーの営業所って、どうして不便なところが多いのだろうか?大井営業所といっても、大井埠頭の広大な敷地の中の営業所を探すのは至難の業でした。世田谷の営業所も不便なところでした。
 ある日、岡山で一緒に仕事をしている会計士の仲間のFさんが私の携帯に電話をしたところ、「ハイ!!姫路駅です!!」 と出たため、私の友人は電話を切ろうとしたら駅員曰く「あっ、この携帯電話新幹線の中の落し物です。持ち主の方に電話したのですね?」そして私の事務所に電話が入り、「先生の携帯、姫路駅にあるよ~」、、、、、、、、、、。全くおそまつでした。(*′∀`*) 
 
(2)財布の紛失3回(小銭入れは除く)
 皆さんも一度くらい財布をなくした経験はおありのことと思います。小銭入れも数回失くしましたが、財布も3回ほど失くしています。まずつい最近の経験。
 中央高速道の談合坂パーキングエリアで休憩後、八ヶ岳方面に向かって走り出して20分。また眠くなったので、境川パーキングエリアに止まった瞬間、家にいた妻より携帯に電話。「あなた!なんか忘れ物した覚えない?!」 ということで談合坂パーキングエリアで休憩した折、テーブルに財布を置いてきてしまったことに気が付く。なんと、親切な方がインフォメーションセンタに届けてくれていたのでした。財布には私の自宅の電話番号を記載してあったため、電話で連絡してくれたのでした。甲府南インターを降り、上野原インターで出て、再度、入って談合坂パーキングエリアに戻ったのでした。
 イヤー助かりました。クレジットカードやら免許証、保険証・公認会計士・税理士登録証等々20枚近くの再発行を考えたらゾッとします。この時日本はすばらしい国だ!と叫びました。実は3回失くしたうち2回財布が出てきているんです。「財布には携帯電話番号の記載を忘れずに!!」 経験者は語る!です。もし走っている最中に電話が掛かっていたら出なかっただろうし、自宅に女房がいなかったら、目的地まで走りつづけていたのですから、運が良かったのです。
 話がそれますが、とにかく私は運が強いと勝手に思い込んでいます。私の運の良さについては、八重山よもやま話(1999年4月号原稿・新日本法規・法苑、54歳時原稿)の 「1、スキーと流氷 2、流氷と珊瑚礁」 をご覧ください。
 先日私どものグループの常務理事会が松江でありました。会合後の懇親会の席でこの話をしたところ、和歌山のN会計士は3勝2敗(5回財布失くして3回出てきた)、広島のF会計士は1勝1敗、京都のH先生は2勝0敗(但し小銭入れ)そして、財布を失くしたことはないものの届けた回数2回の東京のM会計士。
外国でこんなことが考えられるのだろうか?まずあり得ないでしょう。ということで 
「日本という国はすばらしい!!」 と叫びたいのです。
 

(3)失せ物あれこれ
1; GPS(位置情報記録器)
 私のデジタルカメラ歴も15年位になるのだろうか?写真が好きな訳ではないが、メモ代わりに何でも撮ってしまうため、膨大なファイル数となり収拾が付かなくなっているのが現実。様々なデジタル写真整理のためのツールを使ってはいるものの、一長一短がある。そしてどこで撮影したのかが分からなくなるので、SONYのGPS-CS1KSPという器械で位置情報と撮影時間をマッチさせて撮影場所をマップ表示できるようにしている。最近のアイフォーン等のスマートフォンには最初からその機能が付いているので、ただ撮りまくれば、自動的にマップに表示されるものの、愛用のデジカメで撮る場合はやはりGPS情報が必要となる。このGPSが無くなっているのに気づき、再度同じもの(GPS-CS3K)を買う羽目になったんです。
 ところが数ヶ月後、別のショルダーバックにくっついている所を発見。がっくりです。落し物ではなく、一時的失せ物なのでした。
 
2; 高度計付き腕時計
 落としてしまったかな?と思っていても私の場合は、ほとんど、落としたのではなく 「一時的失せ物」 の場合が多いんですね。
 高度計付き腕時計なるものがある。私の家は高度27メートル位の所に位置している。散歩に出ると必ず帰りは坂を登って来なければならない。そこで高度を保ったまま散歩できるコースはないか?と模索するうちに、高度計を持ちながら歩けば、坂や階段を登らなくてすむはずと考え、1年以上前にSUUNTO COREという気圧、高度、温度、時間、ストップウォッチ、日の出日の入り時間等の機能が付いた時計を購入した。
 この時計だと、山登りやスキーの際のログ記録ができて便利なんです。そして今年2月、念願のカナダ・ウィスラースキー行では、標高差:1,631m最長滑走距離:11キロのコースのログを取るのを楽しみにしていたところ、いざ出かけようとしたら、SUUNTO COREが無い!。
 しかし上記GPSの例もあるので、再購入はせず、じっと待つことに。そしたらつい一週間前にでてきました。またもや 「一時的失せ物」 なのでした。

3;手首式血圧計のUSBケーブル
 もうひとつ、一時的失せ物をじっーと、待っているものがあります。OMRONのインテリセンス手首式血圧計を昨年9月に購入し、日々の記録をUSBケーブルを通じてパソコンに取り込んでいます。ところがこの特殊なUSBケーブル君、数ヶ月前から家の中のどこかにいまだに潜んでいます。早く出てこいよ!と言いたい。

4;PC連動万歩計
 OMRONの万歩計(HJ-710IT) も三回無くし、これは出てこないのですぐ再購入。それと言うのも、やはりパソコンにデータ送信して、オムロンのWebサイト(Walker,s index) に送信すると、自分の歩行記録、体重記録が記録されていくためです。2007年11月から記録を取り始め、原稿執筆時点で11,563,651歩を歩いて、北海道から沖縄まで行き、現在戻りの最中で、福井県まで到達。私の5月の歩行記録(PDFファイル) をお見せしましょう。この歩行記録は日別データですが、日別の時間帯別グラフもあるため、深夜帰宅の日も一目了然、深夜帰宅比率等も自分なりに採っています。
 


2、    物品管理・文書管理等の重要性

 
 地方公共団体の監査やら、上場会社の社外監査役やら、あちこちの会社・団体の監査や税務業務に携わっていると、実に物品管理や、文書管理の態様は様々であると実感します。
 中小零細企業の場合はまず、内部統制やら内部牽制といった側面からはまだまだ諸規定の整備状況は不十分といえましょう。印鑑管理等も 「えっ!こんなやり方で大丈夫?」 というくらいお粗末な企業も散見されます。
 地方公共団体や上場会社そしてその関係会社になるとさすがに、諸規定は整備されていますし、J-SOX導入後、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した 「内部統制報告書」 の作成や公認会計士などによる内部統制監査を受けることが義務付けられたため、昔に比べると格段の向上が見られます。
 内部統制システムが適正に機能していることを確認するために、様々な点検項目が設定されていて、経営全般領域、リスク管理領域、法令等遵守領域、総務・会計領域、企画事業領域、個人情報保護領域等々様々な観点からチェックがなされています。
 リスク管理領域には、リスク管理規定とともに、公印取扱規定、金庫管理規定、文書保存規定等々がありますので、それらの諸規定通りに運用がなされていれば、私の個人的な「失せ物・落し物」等が発生するわけがありません。
 
 とはいうものの、、ですね。やはり事故は起こります。内部統制に関わる諸規定が整備されていても、その運用状況が問題です。(包括外部監査で触れた運用状況の指摘事項については、「情報システムに関わる財務事務等の執行及び事務の管理について」(PDFファイル)のICタグの出納管理、自動交付機カードの在庫管理(22年度港区)を参照)
 先月号のB-plus 「経理不正事件の発生原因と金融機関等の内部統制」 でも触れましたが、その中の 「2、事件を起こさない仕組み作りと金融機関の内部統制の一例」、「3、経理の不正事件と発生防止策」を再度お読みください。
 
 悪意を持った人間が関わってしまえば、事故は起きざるを得ないのですが、事故が起きないような、あるいは起きづらいようなシステム作りが重要です。先に述べたように、日本という国は素晴らしいんです。そして例外はあるものの、基本的には善人の集まり、と信じます。ですから、そのようなシステムが、おそらく他の国よりは根付きやすいはずです。
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

渡辺俊之 Toshiyuki Watanabe

公認会計士・税理士

 経 歴 

早稲田大学商学部卒業後、監査法人に勤務。昭和50年に独立開業し、渡辺公認会計士事務所を設立。昭和59年に「優和公認会計士共同事務所」を設立発起し、平成6年、理事長に就任(その後、優和会計人グループとして発展し、現在70人が所属)。平成16年には、優和公認会計士共同事務所の仲間と共に「税理士法人優和」(事業所は全国5ヶ所)を設立し、理事長に就任。会計・税務業界の指導者的存在として知られている。東証1部、2部上場会社の社外監査役や地方公共団体の包括外部監査人なども歴任し、幅広く活躍している。

 オフィシャルホームページ 

http://www.watanabe-cpa.com/

 
 
 
 

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