今回も皆さんと一緒に、未来を切り拓いていく言葉を獲得するためのトレーニングをしていきます。私と一緒に考えながら、あなた自身の言葉を磨く助けにしてください。
“間違い”ではなく、“違い”である
小手先のテクニックでなくまっすぐに。「私には、あなたのしていることが、よくないように見えるんです。ただ、あなたの立場から見ると、その判断は間違いないということなのですね」と、そんな聞き方をしてみたらどうでしょうか。
人間というのは、その人それぞれにとっての真実があります。ですから、相手が間違いと思わずにしていることを、他人が間違っていると指摘しても、あまり効果はありません。なぜならそこにあるのは、“間違い”ではなく“違い”だからです。そういった見解の違いは、視点・視座・視野の違いから生まれることもあります。
「視点」はものの見方、「視座」はどの立場から見ているか、そして「視野」は見えている範囲。つまり、あなたが間違っていることをしていると思ったその人は、単に違う視点で、違う視座から、違う視野で物事を見て判断しているんです。それを踏まえたうえで、自分の意見をきちんと言ってみてはいかがでしょうか。
ジャッジをするのは上から目線
「間違っていることをなんとか止めたい」と考えるのも、全部目線が上からになっていますよね。本来は下の立場のはずなのに、目線が上になってしまっている時点で、目上の人との関係性がこじれはじめます。たとえ言葉では伝えていなくても、目上の人には「こいつ、俺のことを下に見ているな」と伝わってしまっているかもしれないので、気をつけてくださいね。
関心をひきたければ、仕事に集中する
ところで、仕事のうえで自分が関心をひきたい相手っていますか? 上司に認められたい、同僚に一目置かれたいというように。そんなとき、相手が自分に対して無関心だったら、どうでしょう? さらに必死になって関心をひきたくなるかもしれません。ところが、そういう場合は、相手の気をひくことを意識しないほうがいいのです。
それよりも、相手が自分に関心を持たずにはいられなくなるくらいに、仕事に集中すればいいんです。そして、圧倒的に成果を出してみせる。そのために誰かの協力が必要なら素直に助けを求めてみる。
職場で、誰かの機嫌を取って動く必要はありません。大事なのは自分の目的や目標。職場における自分の目的は何で、そのための目標は何か。これを明確にして、今、注力すべきことを具体化して、それを達成するために邁進すればいいんです。
目標が明確になる「夢の質問」
そして、イメージしてみるんです。特別にその人と1時間ずつ話せたとして、「3つだけ質問していいよ」と言われたとする。自分のしたい質問に答えてくれそうな相手を個別に複数、選んでもいいです。この質問に答えられるならこの人だな――というように。
自分がその人に本当に聞きたいこと。それを決めて、誰に何を聞くか、夢の中でできる質問を書き出します。相手はとにかくすごい人なので、しょうもない質問はダメですよ(笑)。
どうですか、質問する相手、質問内容は決まりましたか。大丈夫ですか。
それでは、今度は、その質問に対する解答を、「完璧にその人になったつもりで」自分で書いてみるんです。
たとえば坂本龍馬なら「それは~じゃき」みたいに方言まで再現してみる(笑)。その人が自分に乗り移ったかのようにイメージして書くんです。すると、意外と明確な回答が出てきます。
偉大な自分は常に自分の内にいる
何が言いたいかと言うと、本当の答えは、実は自分が一番わかっているということです。尊敬する人の考えは、すべて自分の中の考え、なんですね。ただ、本当に自分がやりたいことが明確になり、実現への方法を知ると、本当にやらなきゃいけなくなるから、それを知るのがみんな怖いので、知ろうとしない(笑)。
本来、他人への質問・相談というのは実に怖いものです。自分の本心が透けて見えてしまうから。本当に成し遂げたいことがあるなら、なおさらです。「そんな風に悩んでいるなら、俺だったら今すぐ仕事やめているな」と自分が尊敬する人に言われたら、「やめなきゃいけないのか!」って思いませんか?
自分の内にある真の声と向き合う。どれだけ自分と向き合えるかが、その人のスケールを決めます。周囲から尊敬を集めている人も、普通だと思われている人も、そんなに違いはありません。自分の目的や目標を明確に意識しているか、してないかだけ。偉大な人は常に、自分の内にいます。その言葉に耳を傾けているかどうか――尊敬される人と普通の人の差は、実はそこにしかないんです。
第17回 自分の本心を知るための「夢の質問」
(2018.8.24)
著者プロフィール
西村 貴好 Nishimura Takayoshi
一般社団法人日本ほめる達人協会 理事長
経 歴
1968年生まれ。大阪府出身の「泣く子もほめる!」ほめる達人。ホテルを経営する家の三代目として生まれ、経営術を学びつつ育つ。関西大学法学部卒業後、大手不動産に入社して最年少トップセールスを樹立。その後、家業のホテルを継いで経験を積み、2005年に覆面調査会社「C’s」を創業する。短所ではなく長所を指摘することが調査対象の企業成長に効果があると発見し、「ほめる」ことの重要性に気付く。数々の実績を上げる中で、2010年2月に「ほめ達!」検定を実施する、一般社団法人日本ほめる達人協会を設立し、理事長に就任。以降、検定を通じて「ほめ達!」の伝播に尽力している。著書に『繁盛店の「ほめる」仕組み』(同文舘出版)、『ほめる生き方』(マガジンハウス)、『心をひらく「ほめグセ」の魔法』(経済界)、『泣く子もほめる!「ほめ達」の魔法』(経済界)、『人に好かれる話し方41』(三笠書房)などがある。
日本ほめる達人協会オフィシャルサイト
西村貴好オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/nishitaka217/
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