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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

責任があるからこそ
仕事をより楽しめる

 
1985年にドラマデビューした中山美穂さん。歌手・女優としても活躍を続け、5月12日に公開される日本・韓国合作の映画『蝶の眠り』では、5年ぶりの映画主演を務めている。遺伝性アルツハイマーによって死を迎える前に、何かをやり遂げようと奮闘する松村涼子を演じ切った中山さんは、「おそらく私が何も説明しなくても、映画を観終わるといろんなメッセージを感じると思う」と語ってくれた。常に美しく、ミステリアスな雰囲気のある中山さんの心の内を、役づくりや仕事に対する考え方を通じて探った。
 
 

記憶にスポットライトを当てるからこそ美しい

 
今回『蝶の眠り』で演じた涼子は、売れっ子の小説家でありながら、遺伝性のアルツハイマーに侵されています。物語の中では、病気の進行によって涼子がだんだんと死を受け入れていく様子が描かれてはいますが、この映画において、病気よりもスポットライトを当てられているのは“記憶”です。病気を大きな軸として描くのではなく、アルツハイマーによって失われていく記憶を大きく取り上げているからこそ、これだけ美しい作品になったのではないでしょうか。
 
涼子を演じるにあたって、チョン・ジェウン監督からは「とにかく強い女性でいてほしい」と言われていました。それは見た目であったり、滲み出る心の強さであったり・・・。この作品を観てくださる方々が「強い女性だ」と感じるような立ち振る舞いを常に意識していましたね。そうして強くあるからこそ、涼子の儚さや心の弱さも表現できたのだと思っています。
 
私は、現場での空き時間なども“涼子”という存在でいたいと思っていました。『蝶の眠り』の撮影では、それがうまくできたので良かったですね。涼子にとって大切な存在となる、韓国人留学生のチャネという男の子がいまして、演じているキム・ジェウク君とは、空き時間や待ち時間なども、ずっと涼子とチャネのような雰囲気でいられたんです。
 
できあがった『蝶の眠り』を観たときは、まるでとても静かに水が流れているような印象を受けました。演じているときは、あくまで涼子として存在していたので、心の中には激しい感情もあったんですけどね。全体を見ると、光の美しい、落ち着いた作品になっています。
 
 
 
 
 

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