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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

知的障がい者と共に歩み
奥多摩に根づいて30年

 

奥多摩で地域の信頼を得るまでの歩み

 
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川上 私の生まれた国スウェーデンでは、障がい者がもっと身近な存在ですから、閉鎖的な日本社会の仕組みが露呈している話だと感じました。しかし奥多摩にお住まいの方々からも、最初は理解を得るのも難しかったのでは?
 
山下 そうですね。身内に知的障がい者がいる者でも、友人・知人へ知的障がいについて正しく説明するのは容易ではありません。というのも、会話ができる人もいれば、重度障がいの方もいるなど、障がいの度合いは千差万別だからです。そうした理由から、園生たちを理解してもらうには実際に触れ合ってもらうのがベストだと考え、私たちは施設をベースに地域の方々と自然に触れ合える機会を増やす努力をしてきました。
 
川上 具体的にはどのような活動なさってきたのか、教えてください。
 
山下 身近なところでは、1年を通じて地域の清掃を行っています。あと積雪の多い地域なので毎年冬には雪かきもしていますよ。
 
川上 まずは日々生活の中で地域へ貢献し、隣人へ挨拶するだけでも良し、とする考え方ですね。健常者も含めて人が生きていくうえで、最も基本的な大事な取り組みだと思います。
 
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原木栽培による椎茸づくりの様子
山下 はい。その一方、仕事や交流をつくる試みとしては、椎茸栽培とカフェ運営があります。原木栽培による椎茸づくりは、おそらく東京都では1番大きな規模なんですよ。毎年秋には椎茸の収穫祭を開催していて、多い年には500~600人以上のお客様を迎えるほどです。森の中に屋台を出して食事や飲み物を振る舞い、園生たちにそのホスト役を勤めてもらっています。
 
川上 園生たちと地域の方々が自然に触れ合う機会としては、最高の舞台ですね! 日常生活の中でミクロ的に他者と触れ合う機会をつくりながら、イベントごとにマクロ的な広範囲の機会をつくり、さらには仕事にまでつなげられているのは素晴らしいです。
 
山下 ありがとうございます。長年お世話になっている地域の人々への感謝を大切にしながら、一人でも多くの方に園生と触れ合ってもらえるよう試行錯誤を続けています。障がい者がポジティブな注目をしてもらうために、今後も拡充していくつもりです。