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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

心配りで現場をつくる 
人思いの建築会社

 

気遣いと思いやりで信頼関係を構築

 
林田 ええ。私はそれまで、自分を不幸な人間だと思っていたんです。しかし建築現場には私より辛い経験をしたり、過去の過ちを後悔したりしている方もいて、その方たちが日々前向きに努力する姿に勇気づけられました。そして、誰かに慕われたり、頼られたり、自分を必要としてくれる環境があると、人は目を輝かせて生きていけるとわかったんです。人はやり直せる。人生をやり直す、同じ立場にあった私はその時、周囲のたくさんの方々の力をお借りして、様々な背景を持った方々の集まる建築の仕事で“再スタートのきっかけ”として起業することを決意しました。
 
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川上 周りの人たちに心を動かされての起業だったのですね。そんな林田社長を間近で見ていらして、長澤常務はどう感じましたか?
 
長澤 当時、男性社会の中で苦労する母を見て大変だと思ういっぽうで、普通の人には味わえない体験をしているなとも思いました。まさにその経験が、母の強さや挑戦する姿勢をつくっていったのだと感じますね。
 
林田 私の場合、女性であり母であることが吉と出たのかもしれません。もちろん、女性であるがゆえに大変な目にあったこともありますが、女性の私だからこそできることをする。その信念だけは常に持ち続けてきました。そういう姿勢は、娘にもしっかり受け継がれていると思います。
 
長澤 例えば、諸事情もあって何日かお風呂に入れなかったり、ご飯をちゃんと食べられていなかったり、なんて方が面接にいらっしゃることもあるんですね。そういった方にはまず、タオルや下着をお渡しして銭湯へ行って気持ちをスッキリさせていただいて、簡単な食事でお腹を満たしてもらってから面接をしています。そうした生活面を気遣いたくなってしまうのは、女性特有の母性なのかもしれません。
 
川上 へぇ~、とても女性らしい思いやりで素敵! そんなことまでしていただけるとあれば、その後も気持ちよく働けるでしょうし、退職した後も良いお付き合いが続きそうですね。
 
林田 実際に、退職後も近況報告をしてくれたり、元気な姿を見せてくださったりする方は大勢いらっしゃいます。一時は「明日の生活をどうすればいいんだ」と悩んでいた方が生き生きと働いてくれている、その事実こそが人生は何度でも出直しがきくのだと教えてくれる──。たとえ別の会社に移ったとしても、元気でいる姿を見せてくれるなら、私にとってはこのうえない幸せです。
 
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林田社長の娘で常務取締役の長澤里香氏(右)
川上 林田社長や長澤常務が従業員の方々と、まるで家族のように接していらっしゃる様子が目に浮かびます。そうした理想的な人間関係を築く秘訣があれば、私にも教えていただけますか。
 
林田 人は他の動物と違って、態度と言葉で心を通わせることができます。一言、「ありがとう」という思いを伝えるときも、相手の目を見て感謝の気持ちを込めながら「ありがとう」と言う。そうすれば、相手も自分と同じ気持ちになってくれるものだと思いますよ。