舞の海 カービングネットの平松代表はフルーツ・べジタブル・カービングのアーティストや講師として活躍していらっしゃるそうですね。カルチャーセンターでの講師暦は2014年で16年になるとか。それにしても、どの作品も繊細な技巧の施された力作ぞろいですね。
平松 ありがとうございます。フルーツ・ベジタブル・カービングは、タイ・カービングとも言われ、タイで700年以上の伝統がある「おもてなし」の文化です。宮廷料理の飾りに使われるんですよ。スイカ、メロンなど加工しやすい硬さの野菜や果実に、下書きをすることなくナイフ一本で草花などを彫り、食卓に彩りを添えるものなんです。
舞の海 下書きなしで仕上げるだなんて、すごいですね。平松代表はどうしてカービングを始めようと思われたのでしょう?
平松 会社員として働いていた時に、テレビで偶然カービングを見てその素晴らしさにとても感動したんです。それですぐにカービング教室に受講を申し込んだのが始まりでしたね。実は私、子供の頃から人見知りで、どちらかというと引っ込み思案なタイプだったんです。でも、自分なりの表現方法を見出して、何かをやってみたい、伝えたいという思いは強くて。その手段としてようやく出合えたのが、カービングなんですよ。
舞の海 そうだったんですか。単に鑑賞して満足するのではなく、自己表現のツールとしてチャレンジしようと思われるほど、魅力を感じたわけですね。
平松 そうですね。初めてつくった作品は、ぐちゃぐちゃでしたけど(笑)。その時はあまりの難しさに、「こんなはずじゃなかった」と思ったのですが、同時に「カービングだったら自分を表現できそう。だからきちんとしたものをつくれるようになりたい!」っていう意欲も湧いたんです。それで続けるうちに、「私が探していたものはこれだったんだ」って確信するようになりました。
ちょっと、実演してみますね・・・。こうして果物の表面にナイフで切り込みを入れて、もう一つの切り込みとぶつかったところをV字状に切り取りながらつくっていくんですよ。ほら、模様が浮き上がって見えてきたでしょう。
舞の海 う~ん、これは難しそうですねぇ・・・。
平松 確かに最初は難しいかもしれないですけど、完成した時は感動しますよ。試しにやってみれば、きっと魅力を感じられると思うので、ぜひ教室にお越しいただき、たくさんの方に挑戦してもらいたいです。