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1、冷やし中華の価格設定の妥当性を考える

 
 麺類大好きな私は、夏になるとどうしても冷やし中華を食べる機会が増えてしまいます。そしてその都度、考えています。なぜ一般のラーメンより常に値段が高いのかと。今まで、何千食食べたかわかりませんが、その都度値段表の確認をします。しかし一軒たりとも一般のラーメンと同じ値段のお店はありません。今回はその理由を考えてみます。
 
 
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冷やし中華が2~3割も高い理由はなに!?
  冷やし中華は採算がとりづらいメニューなのでしょう。作る行程が多く、手間暇がかかります。麺だけでも、「ゆでる」 → 「ザルにあげて氷でしめて」 → 「再び入念な水切り」 が必要です。具も細切りが多い。特に蕎麦屋で出す冷やし中華の場合はハムやクラゲが残ってしまうと他に転用できないので、ある程度の量が出ないと困るとのこと。そして塩クラゲの塩分を取るのに2~3時間かかり、また蕎麦屋の場合、ラーメンの麺の中にはカンスイが入っていて蕎麦の釜が濁ったり臭みが出るため、そうならないようにするには余計手間がかかるとの話です。そして数の出ない冬場は割に合わないから、夏場だけのメニューのようです。
 それでも 「冬にも食べさせろ!」 ということで旗を上げたのが、「全日本冷し中華愛好会」 なる団体です。私も全く同感で、なぜ夏場限定なのか、残念でなりません。
 冷やしキツネそばも夏場限定です。「氷でしめて再び入念な水切り」 という余分な手間暇の部分は冷やし中華と同じです。しかし冷やしキツネそばなら、ザルそばの上 (あるいはザルそばを丼に入れ漬け汁を薄めた上でかける) にアブラゲを乗せれば、一応 「冷やしキツネ」。でも、冷やし中華はそういうわけに行かないでしょう。胡瓜に薄焼き玉子、細切りチャーシュー(ハム)、スープもラーメンスープをそのまま使うわけにも行かない。
 ということで、数が出ないことには採算があわないという理屈も理解できなくはありません。
 
 でも、普通のラーメンより冷やし中華の方が2~3割も値段が高いのは、まだ納得できません。
 そこで値段の内訳を考えてみます。食べ物屋さんの料理の価格に占める材料費の割合は、ほとんどの場合3分の1、つまり33%です。とんかつ屋でも蕎麦屋でもラーメン屋でも同じです。我が会計事務所のクライアントの事例ですが、全国的な標準数値を見ても同じ傾向にあります。つまり材料代の3倍が売値になっています。ということは、人件費や物件費そして利益が、残りの3分の2になるわけです。
 
 さて、調理時間が普通のラーメンより余分にかかるために値段も高い冷し中華ですが、余分にかかるのは 「氷でしめて再び入念な水切り」 の部分だけです。普通のラーメンの調理時間に比して仮に50%余分に時間がかかるとすると、33%の材料費を除いた67%部分の50%で33.5%のコストアップになります。これなら値段が1.33倍でも仕方ないと思うものの、「氷でしめて~~」 の部分だけで通常の調理時間の半分もかかるのか? はなはだ疑問ですが、「素人の私にはわかりません」 とだけしておきます。
 いずれにしろ追加調理時間が判明しないと、私にはこの価格差が納得できません。
 
 

2、お好み焼きの値段はなぜ安くないのか?

 
 冷やし中華の値段が普通のラーメンに比べて高いのは作る行程に手間暇がかかるからだというのは、その価格設定の妥当性は別として、高い理由は納得しました。
 
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調理に人件費がかからないお好み焼き、なぜ高い?
 では、お好み焼きの場合は、どう考えたら良いのでしょう。
 お店側が提供するのは材料だけです。調理はお客が自分でします。先ほどの例で行くと、材料費33.3%+(人件費+物件費+利益)66.6%=食べ物価格となります。このうち調理の行程に関わるのは人件費。調理に割く人件費はかからないとなると、冷やし中華とは逆に、その部分は値段を安くしないとおかしいのではないかと私は考えてしまうんです。
 これはどう考えてもおかしいとは思うものの、現実は違います。まあ、すぐに調理できるように材料をそのメニューに合わせて取り揃える工程には時間がかかりますし、鉄板を囲みながら仲間と一緒に 「調理をする」 という 「娯楽」 部分のサービスの提供を受けている対価としての値段だと考えることにしました。
 でも調理の嫌いな私にはやはり納得できません。
 
 
 
 

 

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