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繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.31「一緒の絵図を見る」ということ

ビジネス 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート vol.31 「一緒の絵図を見る」ということ 繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート 商業経営コンサルタント/サトーカメラ代表取締役副社長

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こんにちは、佐藤勝人です。皆さんは「改元GW」をどう過ごしましたか? 私は正月三が日と同じく獅子舞で、平成の大晦日、令和元日、二日に各店舗を回りました。特にオープンしたてのイオンモール春日部店は印象的だった。この店での今後の客入りを占う意味もあったからドキドキで行ったけど、予想以上の大盛況でホッとしました。ご来店くださったお客さんにあらためて「ありがとうございました!」とお伝えしたいです。
 
 
イオンモール春日部店
壁は最初どんな色だった?
 
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イオンモール春日部店で。獅子舞の“食われ待ち”が行列に!
今月の内容ははっきり言って内輪話で、本来なら出すのが恥ずかしいんだけど、皆さんの会社でも「あるある」だと思うからあえて話します。そのイオンモール春日部店の、オープン直前の裏話です。
 
オープンにあたってはプロジェクトの責任者に執行役員をあてて、私は店舗デザインの指示を現地視察の時に出しただけで、あとは彼に任せていました。なんたってうちの幹部だ。新任とはいえ私たち経営陣が信頼して役員に引き上げた人間だ。だから、「壁の色は全部黒だ。キミがやった大田原店みたいに天井から下まで黒板で、POPはチョークで自由に描けるように。とにかく店内外の壁は全部黒だ、黒板だ!」とだけ指示して、「わかりました!」って彼が言うから安心していたら・・・。
 
オープンの1週間前だったかな、「ティファニーブルーの青を入れようと思うんですけど」という意味の電話が彼から来て、一瞬何の話だろうと思ったけど、まあ店舗業者が入ってるから細かい什器か何かの色のことだろうと思っていったん聞き流しかけてから、一応確認のために聞いてみた。「うちのコーポレートカラーはグリーンだよ。大丈夫だよね」。彼は「そうですね! わかりましたグリーンにします!」という答え。
 
「ちなみにそのグリーンどこに使うの?」「店内の壁の上のほうです」「いやいやキミ、壁は上から下まで黒だ、黒板だ、って言ったじゃないか。なんで聞いたこともない違う話が出てるんだ? 明日行くからちょっと待ってろ」――と、言いたかったところだけど、任せたからには我慢・・・。そういう一幕があって、翌日行ったら。
 
 
指示したことと出来上がりが
食い違う本当の原因は何か
 
見事に、指示したイメージになっていなかった。3分の2ぐらいの壁は黒板になってたけど、なぜだか残りは白、要するにモールの壁の色の部分があって、間抜けになっている。「大田原店でやった全面黒板だぞ、わかってるな」って例まで出してイメージを共有したはずなのに、いざ進んだらそうなってない。「全面黒板で写真とチョークアートで埋め尽くせ。店の名前なんか見えなくていいから」と現場で一緒に共有しながら、目視しながら語ったにもかかわらず、そうなってない。
 
「へ? なんで? 3分の1を白壁なんて誰も指示してないじゃん?」って呆気にとられた。で、店舗業者にでも現場で入れ知恵されたのかな? 彼らは専門家だから「店舗としての常識論」で来るからな、と察して、「彼らの話は聞き過ぎないように前もって言ってあったじゃないか。彼らは店舗デザインのプロでも、世界中の店を視察しているわけじゃないから、俺は見てきてるんだから、俺を信じろって、言ったじゃないか」と諭した。あと、全部黒板にすると予算オーバーになりますよ、みたいなことでも言われたのかな? とも考えた。もしそうならついつい話を聞いちゃうだろうな、まぁ、一方的に怒るのもかわいそうだな、と思って詳しく聞いてみたら・・・。
 
両方違ってた。自分たちのほうから壁の一部を白にする指示を出してたんだ。要するに、店内外の壁がすべて黒づくめの黒板なんていう店を見たことがないから、自分たちの引き出しにないイメージだったから、指示を貫徹できなかったんだよ。もっと細かい理由としては結局は多少の予算オーバーということも重なったんでしょう。でも本質的には、「そっちはどうでもとにかくコレは守る。コレを優先する」という“コレ”が、共有できていなかったことが原因だった。
 
それで思ったのが、私は今まで1を伝えたいときには1.5とか2ぐらいに強めて話すようにしてきたけど、あれってあんまり意味がないんだね。聞くほうは最初から自分のキャパの範囲でしか聞かないから。2で言えば1は最低でも伝わる、ってことはない。3にしようが4にしようが、相手のキャパが仮に0.5だったら最初から0.5しか伝わらない。
 
そう気付いたから私は今、「私の話を下手に理解しようとするな。嘘でしょマジですか、と思っても、とにかくやってみろ。やったら理解できるから」と言っています。だって、指示されたことを無理に理解しようとして自分のキャパの中で小さくまとめてしまうより、そのほうが本人にとっても成長の近道だから。
 
まあそんなわけで、春日部店のオープンは直前の直前までドタバタだった。壁は白黒パンダみたいになっちゃったけど、それはそれに合わせて店内のレイアウトを変えさせて、現像受付機の台数を増やさせて。いやー、ある意味いい店になった(笑)。
 
 
信頼し合う者同士の連携のレベルは
もうちょっと上なんだよ
 
もう一つ、この件があった直後の役員会議でのことを話しておこう。私が「キミたちは私を信用してない! だから予算オーバーを言い訳にして土壇場でブレたんだ!」とブチ切れていたら、その何人かが、「自分たちだって一所懸命やってんだからちょっとぐらい褒めてよ」っていう雰囲気の顔をしたのがチラッと見えた。
 
私は「あ、そういうことか」と思った。だから言ってあげた。「もしかしてキミたちは、経営者に褒めてもらおうとしてる? それは違うぞ。経営者はキミたちのことを信頼したから、店長職から一気に役員に上げたんだぞ。キミたちは経営者に最も信頼されてんだぞ。経営者の信頼を得たんだぞ。それ以上に何かあるのか?」って。
 
だって、褒めてもらってそれを糧にうんぬん、なんていうのはレベルが低い社員の話で、彼らはもうそこじゃない。店の内装みたいなことについてもそうだ。図面を指さしてここはこう、ここはこう、みたいな感じで詳しい指示をもらって、そのとおりに動いて上司に褒めてもらうのを期待するなんてレベルは、もう彼らは卒業しなきゃならない。それよりも、何かに向けて動くときに経営者と同じ「絵図」が描けることのほうがよっぽど大事だ。
 
「絵図」は店舗の内装イメージなんかとはちょっと違う、もう一個上の次元のものだ。近い意味では“思想”と言えるかもしれない。思想は普通、視覚的にとらえるものじゃない。でも思想は、「それさえ確実に共有できていれば何かを実現しようとしたときに共通の絵図を描ける」という形で、時に現実となって現れる。春日部店の一件のおかげでこの“共有”がまだ少し足りないことに気付けたのはホントに幸運だった。
 
ダウンタウンの松ちゃんいわく、彼らの漫才には台本がないんだってね。舞台で掛け合い中は2人に同じ絵が見えているから、それを展開させているだけなんだそうだ。別にあの2人は特別な“思想”に向けてお笑いを続けているわけじゃないだろうが、大事な部分が共有できているからこそそんな芸当ができるんだと思う。
 
会社の事業も同様だ。経営者層、役員クラス、一般の社員。それぞれに見えている絵がある程度共通していなければ、いい展開は生まれない。私は今、もっとしつこく、サトーカメラの“思想”を、みんなに説き聞かせていこうと思っています。
 
5月22日~6月30日までの勝人塾
■5月22日第41回ぎふ勝人塾IN岐阜
事務局/メイクオーヴァ
https://www.facebook.com/events/1273889646099401/
 
■5月28日第15回とうほく勝人塾IN八戸
事務局/やまはる
https://www.facebook.com/events/2255025134746302/
 
■6月5日第72回とちぎ勝人塾IN宇都宮
事務局/日本販売促進研究所
https://www.facebook.com/events/364123847542721/
 
■6月7日第13回みやざき勝人塾IN西都
事務局/西都商工会議所
https://www.facebook.com/events/260873741372214/
 
■6月11日第30回わかやま勝人塾IN紀伊田辺
事務局/藤原農機
https://www.facebook.com/events/2131607903541192/
 
■6月18日〜24日第14回佐藤勝人と行くアメリカ東海岸商業視察セミナー
https://www.facebook.com/events/815935338756822/
 
■7月2日第42回サトカメエキサイティングセミナー
https://www.facebook.com/events/326619684635256/
 
 
第11回「ニコニコチャンネル ニッポン勝人塾」(6/10 15:00 – 16:00)の告知
 
■講演依頼・セミナー依頼・個別支援等々佐藤勝人への問合せは
https://jspl.co.jp/contact/
 
 
 
繁盛請負人・佐藤勝人の時事国々リポート
vol.31 「一緒の絵図を見る」ということ

 著者プロフィール  

佐藤 勝人 Katsuhito Sato

サトーカメラ株式会社・代表取締役副社長/日本販売促進研究所・商業経営コンサルタント/想道美留(上海)有限公司・チーフコンサルタント/作新学院大学・客員教授/宇都宮メディアアーツ専門学校・特別講師

 経 歴  

1964年栃木県宇都宮市生まれ。1988年、兄弟とともに家業のカメラ店をカメラ専門チェーン店に業態転換させ、商圏をあえて栃木県内に絞ることにより、大手に負けない経営の差別化を図った。以来、「想い出をキレイに一生残すために」というコンセプトを追求し続けて県内に18店舗を展開。同時におちこぼれ社員たちを再生させる手腕にも評価が高まり、全国から経営者や幹部リーダーたちが同社を視察に訪れている。2015年からはキャノン中国とコンサルティング契約を結び、現場の人材育成の指導にあたる。主な著書に『売れない時代はチラシで売れ』『エキサイティングに売れ』(以上同文館出版)『日本でいちばん楽しそうな社員たち』(アスコム)『一点集中で中小店は必ず勝てる』(商業界)『断トツに勝つ人の地域一番化戦略』(商業界)など。新刊の『モノが売れない時代の「繁盛」のつくり方』(同文舘出版)が好評発売中。

 オフィシャルサイト 

http://satokatsuhito.com/

 オフィシャルフェイスブック 

https://www.facebook.com/katsuhito.sato.3?fref=ts

 サトーカメラオフィシャルサイト 

http://satocame.com/

 
 
(2019.05.22)
 

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