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炎上か、ブランディングか
~企業はソーシャルメディアを使いこなせ~

 
 
 「怖いのは、ここまで至るのに1日かからないということです。企業には2チャンネルに掲載されるあたりで気付いてもらいたい。この段階で気付ければ大炎上を防げます。特に大企業ほど炎上しやすいことを自覚し、日頃からリスク意識をもってネットを監視するべきです。監視ソフトを導入したり、自社の風評を検索上位に載せないための逆SEO対策をとったり、事が起これば営業や管理部門のトップ、広報室などから誰を呼んでどう対処するかも、予め決めておく必要があります」(石川氏)
 
 元社員や現役社員が風評を広める場合もある。先進的な企業では従業員に対し「ソーシャルメディア・ポリシー」を策定し、ソーシャルメディアの使い方を明記しているが、そこまでできない企業も、リスクマネジメントの視点から、就業規則や就労契約書に「退職後に会社の情報を漏らさない」といった条項を入れておくことが大切だ。
 
 

◆まず全面謝罪。方法を誤ると火に油を注ぐ

 
 それでも実際に炎上しそうになったら、どうしたらよいのか。
 知られる通り、Googleやヤフーなどの検索サイトに風評が載っても、該当する違法行為を行っておらず中傷であれば、法的根拠から検索やブログの運営会社に削除申請ができる。しかし「バイトテロ」や従業員の不祥事、製品やサービスの不手際でクレームが来て炎上する場合は、その事実に対して全面的に謝罪しなければならない。石川氏は、大炎上になるのは謝罪の程度・範囲を含めた対応のまずさに原因があると指摘する。
 
 「ご迷惑をおかけしている、ご心配をおかけしている、お騒がせしていることについて、できるだけ早く、公式ページでコメントを出してしっかり謝ること。良い謝り方で消火を素早く行い、小炎上で済んだ例がいくつもあります。逆に、対応がのろかった、悪かったなどで謝り方を間違うと、火に油を注ぐことになる。素直に正直に謝ればかえって良く解釈されます。それで好感度を上げた会社もある。知らないふりをしていたら忘れてくれるだろうという頬かむりは駄目です」(石川氏)
 
 

◆ソーシャルメディアでブランディングとリクルーティングを

 
 いっぽうで、ソーシャルメディアを自社のブランディングやリクルーティングに使う動きも出てきている。日産自動車では2011年にYouTubeやUstreamなどの動画配信に特化した「日産グローバルメディアセンター」を設置。プレスリリースや記者会見でメッセージを伝えるスタイルから、自社で動画を撮影、編集し、マスコミや消費者、投資家などに告知したうえで配信まで行うスタイルに移行している。ツイッターで積極的に情報発信する、ソフトバンクの孫社長のような企業トップも出てきた。YouTubeやフェイスブックに公式チャンネルを置くなど、ソーシャルメディアをCMOないしCRMの観点から活用する企業や自治体は確実に増えている。
 
 不祥事が発生した時、会社のホームページで謝るのは当然の対応だ。しかし、それで事足れりとしている企業が多い。ネットそのものは双方向的なツールだが、ホームページが見に来た人しか見られないのに対し、ソーシャルメディアには“口コミ効果”による段違いの拡散性がある。であれば、不祥事の時こそ、例えばフェイスブックに謝罪文を載せ、動画サイトで状況を発信すべきかもしれない。
 
 「ペヤングが工場の生産ラインを全面的に替えると発表してから、イメージは持ち直しています。生産ラインを替えるというのは大英断です。だったら、それを無駄にしないように、フェイスブックでピカピカのラインを見せてやればいい。ホームページに出てこない製品開発の裏話や社員の採用事情など、消費者が最も知りたいことをソーシャルメディアで日常的に発信して企業やブランドのイメージを向上させておけば、不祥事が発生した際のリカバリにも役立ちますし、優秀な人材を獲得することにもつながります」(石川氏)
 
 宣伝部、広報部、マーケティング部、お客様相談室など、企業の中で消費者とのコミュニケーションに関わる組織は多岐にわたる。これまでは双方にとってトラブルの原因になりやすかったソーシャルメディアだが、今年あたり、「消費者との接点が最も濃密、かつ双方向的」という他のメディアにない特性を企業がうまく使いこなすようになれば、消費者を知り、消費者とつながり、良く付き合っていくための突破口になるのではないだろうか。
 
 
(ライター 古俣慎吾)
 
 
 
 

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