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「徒然泣き!人生」
一職業会計人の"軒昂奉仕"vol.2

 
 
 国・地方公共団体の会計の仕組みを刷新するためには、自己検証能力のある複式簿記の方式こそが重要で、検証可能性のない単式簿記による記帳では無意味です。
 検証可能性には、二つの意味があります。一つは、複式簿記がもつ貸借平均の原理による自己検証能力、すなわち一つの取引を借方、貸方の二つの側面からみることです。もう一つは、組織的帳簿システムが持つ原始記録まで遡及がいつでも可能という意味です。複式記入しない単式簿記にこの自己検証能力がないことは、明白です。
 
 

遅れている地方公会計制度への対応策

 
 公会計制度改革とは、現金主義・単式簿記を特徴とする現在の地方自治体の会計制度に対して、発生主義・複式簿記などの企業会計手法を導入しようとする取り組みのことです。
 国は、平成20年度決算から 「基準モデル」 又は 「総務省方式改訂モデル」 という二つの公会計モデルを活用して財政書類を整備するよう要請しています。しかしながら、これらのモデルは、我が国で一般的に用いられている企業会計基準や、諸外国で準拠している国際会計基準の考え方とも異なります。新たなる公会計方式の採用にあたっては、国が進める、単式簿記をベースとしたモデルではなく、将来的には、自己検証能力のある複式簿記の方式を公会計制度改革に採用することの重要性をも、是非理解しかつ認識してほしいものです。
 上記方式以外に、複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた東京都の新公会計制度も、公会計の中で、一番進んでいる方式といわれています。23区での比較可能性を考慮した場合、十分に検討に値する方式と考えます。これらの考えは、昨年の包括外部監査で私が意見として述べた部分でもあります。
 
 
 今回はちょっと話が硬くなりましたので、次回は身近な事例で、最近の日本相撲協会の貴の花の理事選挙立候補の話、日本公認会計士協会の15年ぶり理事選挙の話などを引きながら、ガバナンス(企業統治)の問題について、考えてみたいと思います。これは、前号で私の複眼的な視点の第三として紹介した、公認会計士たる社外役員としての視点です。
 
 ・・・出納整理期間の問題やら、いわゆる埋蔵金の問題。そしてなぜ埋蔵金ができてしまうのか? これらの問題も、掘り下げていくと興味が尽きませんが、機会があるときに別途、説明してみたいと思います。
 
 話があちこち飛びますが、そこは 「一職業会計人が徒然なるままの文章」 ですのでお許しを・・・。
 
 
 

 プロフィール 

渡辺俊之 Toshiyuki Watanabe

公認会計士・税理士

 経 歴 

早稲田大学商学部卒業後、監査法人に勤務。昭和50年に独立開業し、渡辺公認会計士事務所を設立。昭和59年に「優和公認会計士共同事務所」を設立発起し、平成6年、理事長に就任(その後、優和会計人グループとして発展し、現在70人が所属)。平成16年には、優和公認会計士共同事務所の仲間と共に「税理士法人優和」(事業所は全国5ヶ所)を設立し、理事長に就任。会計・税務業界の指導者的存在として知られている。東証1部、2部上場会社の社外監査役や地方公共団体の包括外部監査人なども歴任し、幅広く活躍している。

 オフィシャルホームページ 

http://www.watanabe-cpa.com/

 
 

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