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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
 

気負わず等身大で
ありのままに人を描きたい

 
高校在学中の17歳の時、処女作『インストール』で第38回文藝賞を受賞すると共にデビューした綿矢りささん。早稲田大学在学中には、『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を当時最年少で受賞し、世間にその名を知らしめた。その後も発表する小説で軒並み様々な文学賞を獲得し、今年2017年の冬には映画化された『勝手にふるえてろ』が公開を控えている。早くから才能を開花し、順風満帆な作家生活を送ってきたように思える綿矢さんだが、その過程には苦しい時期もあったという。一見すると隙がなく、完璧にも見える経歴とは裏腹に、自然体で可憐な雰囲気をまとった綿矢さんの心の内を探った。
 
 

意識しているのは飾らずに書くこと

 
自分が作家として変わったなと思うのは、以前に比べて今はより気楽に、カジュアルに小説が書けるようになったことです。実は今までは書く前に緊張していたので、しっかり集中してから書き始めていたんですよ。でも今は執筆と日々の生活にさほど差を感じることなく、生活の中で自然と書けるようになりました。
 
作品そのものにも、私生活はだいぶ影響していますね。私の書く主人公はどの作品でもだいたい自分と同じ年齢なので、1人暮らししていた時や大学に通っていた時の経験が自然と出ています。特に短編小説には、その時々の私の近況が反映されていると思いますね。とはいえ、大部分は想像で書いていて。その中で意識しているのは、たとえフィクションでも、飾らずありのままに人を描くこと。それはどの作品を書く時にも気を付けています。
 
登場人物に思春期のような複雑さやイタさを抱えた女性が多いのは、もともと女性の複雑な内面に興味があるからだと思います。だからか、気が付いたらそういう一筋縄ではいかない女性の心理を表す描写に行数やページを割いていますね。そのために周囲の女性を意識的に観察しているというよりは、自分の心の動きをみながら書いている感じです。
 
あとは、日頃から日常に転がっているささいなことにも目を向けるようにしています。「大したことないかも」と思うような何気ないことも、丁寧に描写してみたら読み応えが出てくることもありますから。
 
 
 
 
 

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