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経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

大切な服を預かる使命と
感謝の心でニーズ満たす

 

経営を維持するために改革を断行

 
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 そうやって勉強をしているうちにクリーニング業の魅力に引き込まれたわけですね。老舗企業の経営を引き継がれるにあたって、プレッシャーはありませんでしたか。
 
岡山 老舗を継ぐプレッシャーより、経営を建て直さねば、という思いのほうが大きかったですね。と言うのも入社して以降、経営実態を知るにつれ、会社が危うい橋を渡っていることがわかってきたのです。
 
 老舗店として地域住民からの信頼も盤石だったのではと察しますが、そうではなかったということでしょうか。
 
岡山 そうです。昨今、クリーニング業界全体を見渡すと、少子高齢化での人口減少やクールビズなどの影響で市場が最盛期の半分くらいに縮小しています。そのいっぽうで業者の数は多く、価格競争は激化するばかり。私が経営を引き継ぐ頃からその傾向は顕著でしたが、社内にはそうした危機感があまりなかったのです。そこで私は経営改革を断行してもいいのなら、社長に就任すると切り出したのです。先代も複雑な思いだったと思いますが、「時代が変わったのだな」と承諾してくださいました。その決断には、今でも感謝しています。
 
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工場内は効率的なオペレーションで無駄のない作業が行われる
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スピーディかつキレイに仕上げるのがモットー
 先代も岡山社長を信じ、時代を見据えた大決断をなさったわけだ。具体的にはどのような改革に着手されたのですか。
 
岡山 私が最も問題視したのは、納期のばらつきです。今でこそ当日仕上げ、翌日仕上げが当たり前になっていますが、当時の対応は違いました。当社の場合、工場の進捗状況によって納期が早くなったり遅くなったりしていたんです。
 
 納期が読めないのはお客の立場からすると不便ですよね。仮に通勤や買い物のついでであっても、多かれ少なかれ回り道を強いられているわけだし、空振りが続いたら、「別のクリーニング店に変えよう」という気になってしまうかもしれない・・・。
 
岡山 そうです。お客様からもよく思われないですし、対応する店舗のスタッフもお客様に対して心苦しい思いをしなくてはならない。それが続くとモチベーションの低下を招いてしまうのです。
 
城 接客をする店舗のスタッフにとっても、工場作業の遅れは避けたいことなんですね。
 
岡山 ええ。そこで私は工場の機械を刷新し、効率化のためにレイアウトも変更して納期を確実にするよう求めました。それと同時にソフト面の改革にも着手したのです。