練習で距離を稼ぐことが
本番での自信につながる
2004年のアテネオリンピックのマラソン競技で金メダルを獲得したほか、女子マラソンの日本記録およびアジア記録保持者として知られる野口みずきさん。現在はアドバイザーとして選手の指導に関わっている。「アテネオリンピックでは、スタートラインに立ったときから自信があった」と語る野口さんに、当時のご経験や今後のマラソン界へ期待していることまで、たっぷりと語っていただいた。
結果を出して感謝の気持ちを伝えたい
私は中学生の頃に陸上部に入りましたが、練習嫌いだったので「足が痛い」と嘘をついてサボることもありました(笑)。走ることを楽しく感じるようになったのは高校生の頃でしょうか。インターハイに出られる実力がつき、自己記録を更新することに喜びとやりがいを感じるようになりました。良い結果を出せることが嬉しかったんです。
その頃から実業団の方に声をかけていただく機会も増え、自然とマラソン選手になることを意識するようになりましたね。でも、実際に実業団に所属してから2年ほどは鳴かず飛ばずで、まったく結果が出せなかったんです。当時はまだ部活動の延長のような感覚で、仕事という意識は低かったかもしれません。
その考えが変わったのは、所属していたチームを離れたことがきっかけです。監督とチームの間で意見が合わず、私も監督と一緒に退職し、4ヶ月ほどハローワークにも通いました。その際に、栄養士さんや調理師さんに任せっきりになっていた食事や栄養についても学んでみたんです。
それまでは自分の体重が増えると、食事をたくさんとることに少し抵抗があったんです。でも、アスリートにとって必要な栄養をちゃんと理解したことによって、食事を減らすのではなく運動量を増やすことに考えがシフトしました。長距離選手は貧血を起こすことも多いので、それを予防するのに効果的な食事についても学べましたしね。
また、そういった勉強をすることでプロ意識も芽生えたと思っています。実業団に所属するからには、しっかりと結果を出して関わってくださる方に感謝の気持ちを伝えないといけないと考えるようになったんです。あの4ヶ月間は、私のターニングポイントと言える期間でしたね。