市村さんはインタビューの中で、「仕事はすべて楽しい」と話してくれた。仕事を楽しみ続けるには、何が必要なのだろうか。
好きだから楽しみ続けられる
僕が舞台に感じる面白みの一つは、“旅”ができること。映画やテレビドラマの場合、シーンごとに映像を区切っているから、時系列どおりに撮影することはほとんどありません。でも、舞台では幕が上がると、順番どおりに最後まで旅をすることができる。演じていると、だんだんと役に入り込んで、気持ちが高まっていく感覚があります。その旅を楽しみたいんです。そして、何よりお客さんの反応をライブで感じられること。僕たちの芝居で笑ってくれたり、泣いてくれたりする、その空気を感じられるんですよ。それが大きな楽しみですね。
映像作品では、俳優が演じるという仕事を終えた後に、監督が一つの作品にしていきます。だから、自分の演じたものがどんな作品になっているのかが楽しみですね。完成したものを観るときはワクワクしますよ。
どんなときでも、楽しむことが大切です。だって、つまらない人生より楽しい人生のほうがいいでしょう? 僕が常に楽しみながら仕事に取り組めているのは、“芝居”という、自分の好きなことを仕事にしているから。もちろん大変なことはたくさんあります。舞台や映像、どんな仕事も体力が必要ですし。それでもやり続けるのは、芝居が好きだからという理由で十分なんです。仕事を楽しめない人が増えているというけれど、自分の好きなものを見つけて、それを仕事にできたら自然と楽しめると思いますよ。
自分が決めた仕事をやり続けるのも、一つの才能です。俳優で言えば、誰よりも努力していて、実力があっても仕事が来ない人もいます。運も必要になる世界ですからね。なかなか芽が出なくても、コツコツと努力し続けることが大切なんじゃないかな。大器晩成という言葉があるように、年を経て売れる人もいます。ほかの人と比べるのではなく、自分と向き合って努力を続ければ、きっと可能性はあると思いますよ。