期待に応え続けることで
唯一無二の武器をつくる
岸谷五朗さん、寺脇康文さんの演劇ユニット、地球ゴージャスの最新作『ZEROTOPIA(ゼロトピア)』が4月9日の東京公演を皮切りにスタートする。元宝塚歌劇団の柚希礼音さんと共に主演を務めるのは、ミュージシャンとして確固たる地位を築きつつ、俳優としてもマルチに活躍する西川貴教さんだ。「生」という普遍的なテーマを題材にした『ZEROTOPIA』に対し、西川さんはどのような意気込みで取り組むのか。また、ミュージシャンや俳優などの粋にとらわれず、様々な活動を続ける西川さんにとっての“生きる”とは、何なのだろうか。
一乗組員として与えられた役割を果たす
僕がこれまでに出演させていただいた舞台作品のほとんどが、原作のあるものです。それに対して、今回参加させていただく地球ゴージャスの手がける舞台は、完全なるオリジナル作品。沈没した豪華客船、そこから生き延びた男女に起こる事件を描いたストーリーです。これまでにしてこなかった経験なので、非常に緊張していますね。それに僕がいただいた役は、心にとても大きな傷を抱えているんです。その状態で、生きることと向き合っていかなければいけない。今までにいくつかの映画やテレビドラマ、舞台に出演させていただきましたが、演じてきたことのない役柄ですね。
さらに、その役に僕らしさや、地球ゴージャスらしさも加えていかなければいけません。初めて演じる役柄なので、緊張すると同時に楽しみでもあります。作・演出を務める岸谷五朗さんには、「作品の中で、一番大きく変化する役」と伝えられました。そうした変化を、観客の皆さんにきちんと伝えられるようにつくり込んでいかなければいけませんね。
今回僕は主役を演じさせていただきますが、実際は全員が主役と言っていいくらい、全ての役にドラマがあります。物語の中で自分だけのリードを取る部分と、物語の一部になる部分を、全員でうまく切り替えながら表現していきたいですね。
僕がこれまで関わらせていただいた舞台では、なるべくその場の緊張を緩和させられるような空気づくりを意識していました。稽古などでは、どうしても緊張してしまうものですから、それを和ませられたらいいなと。ただ、今回は地球ゴージャスをつくり上げた岸谷さんと、寺脇康文さんが舞台に関わる全員を引っ張ってくれています。僕は共演者の方々や、スタッフの方々と一緒に、大きな船に乗った一乗組員として、岸谷さん、寺脇さんから与えられた役割をしっかりこなしていければいいなと思っています。