B+ 仕事を楽しむためのWebマガジン

経営者インタビューEXECUTIVE INTERVIEW

伝統的な大工の技を駆使 伊賀の町並み保全に尽力
株式会社小林建築 代表取締役 小林大祐

 
プロフィール 三重県出身。子どもの頃から動物好きだったこともあり、父の勧めでひよこ鑑定士の資格を取得し、ニワトリのヒナの雌雄鑑別の仕事に就く。海外派遣を打診されたものの、勤務地を聞いて断念。19歳で大工に転身した。6年間の修業で一軒家を建てられるほどの実力をつけ、独立。2023年には(株)小林建築として法人化を果たした。在来工法と呼ばれる、伝統的な技術を駆使し、さまざまな建築やリフォーム、リノベーションに取り組んでいる。
 
 
 
手刻みで木材を加工し家を建てる。この伝統的な在来工法で新築やリフォームを手がけるのが三重県伊賀市の株式会社小林建築の小林大祐代表取締役だ。大工歴30年を超え、後進の育成にも尽力する小林社長は、「伊賀市に残る古い町並みを修繕し貴重な風景と伝統の技を次の世代に伝えたい」と語る。そのためにもコミュニケーションを重視し、枠にとらわれない取り組みで業界のイメージを変えることが小林社長のビジョンだ。
 
 
 

19歳で大工に転身し6年で一軒家を建てる

 
glay-s1top.jpg
インタビュアー 小倉隆史(サッカー元日本代表)
小倉 三重県伊賀市の株式会社小林建築さん。まずは事業内容を教えていただけますか。
 
小林 弊社は在来工法、つまり伝統的な大工の技術を駆使した建築・リフォーム・リノベーションを手がけています。数多くの協力業者とチームを組み、新築から状況に応じたリフォームまで施工しているんです。左官・溶接・板金・家具の製作などもお任せください。現在の新築住宅はプレカットが主流でして。そういった現場しか経験していないと、なかなか古い家のリフォームはできません。しかし、在来工法を熟知した弊社なら安心ですよ。
 
小倉 伝統を今に生かす小林社長のご経歴が気になります。ぜひ、詳しくお聞かせください。
 
小林 子どもの頃から動物が好きだった私は、父の勧めでニワトリのヒナの性別を判定する「ひよこ鑑別士」の資格を取りました。のちに海外派遣の話をいただいたものの、視力が低下していたこともあり、辞めてしまったんです。
 
小倉 ひよこ鑑別士は本当に存在する職業だったんですね。小林社長の好きなことに突き進む行動力も含め驚くようなお話ですよ。その後はどのような歩みだったのでしょう。
 
小林 19歳で大工の親方に弟子入りしました。これが私の人生で初めて自ら選択した道だったんです。当時は「背中を見て覚えろ」と言われる時代でした。一人前の大工になるまで10年はかかると言われていたものの、私は積極的に学び6年で一軒家を建てられるほど成長できたんです。