荒平　そうですね。それでも、農業の道で生きる覚悟は決めていました。そして、最初は経験豊富なレンコン農家さんのもとで、3年間しっかりと修業したんです。そこで「生まれ育った地域の近くで農園を始めてみてはどうか」とアドバイスをいただき、独立後は地元である現在の場所でレンコン農園を始めました。しかも、この地域の新規就農者でレンコンを主要な農産物として取り扱うのは、過去に前例がなかったんですよ。
 
千葉　前例がないほど珍しい取り組みにチャレンジなさったとはすごいですね！
 
荒平　でも、やはりゼロの状態から農地をつくり、作物を育てて販売するまで、すべて自分で行うのは大変な作業でしたね。農業は天候によって左右される仕事なので、日々、天気の微妙な変化にも神経をとがらせています（笑）。しかし、百貨店勤務時代とはまた違ったやりがいも感じているところです。地域で開かれるマルシェや販売会などでも、当園のレンコンを販売していまして、おかげさまで好評をいただいているんですよ。愛情をかけて育てている分、喜びもひとしおですね。
 
千葉　農業を続ける中では、ご苦労も多いでしょう。でも、それを踏まえても大きなやりがいを感じておられるのは素晴らしいです。私自身も、当初は自分がオリンピックや世界陸上に出場できるとは思っていませんでした。でも、自身が達成すべき小さな目標をクリアしていくことで、大きな舞台に立てたのだと思います。何事も、一つひとつの積み重ねが大事ですよね。