「アパレル業界全体の景気は悪いが、まだまだやりようはある」。天然素材にこだわったレディース服の企画・製造・販売を手がける株式会社コードエフの代表取締役を務めるデザイナー、森井啓隆氏の言葉だ。直販はせず、小売り業者への販売のみを行うB to Bに特化。注文に対して製造を行うという、在庫を持つリスクがないビジネスモデルを確立している。ニッチな会社と自ら語る森井社長の話しぶりは、自信に満ちていた。
アパレル問屋で働き、デザイナーに方向転換
森井 私は大学卒業後、衣料アパレルなどを扱う問屋に就職しました。その会社では、完成されたアパレル製品を購入し、全国の小売り店様に販売していたんです。実は、最初からファッションに興味があったわけではありませんでした。しかし、いろいろな洋服を見ているにうちに自分でもデザインを描けるのではと感じ始め、2013年に社内で「08Mab(ゼロハチマブ)」というブランドを立ち上げ、デザイナー業務にのめり込んでいったんです。
畑山 おもしろい歩みですね! 会社内で独自ブランドを立ち上げるのは実行力がないとできないことでしょうし、勇気がいりそうです。もともとは衣服に興味がなかったとのことで、どのようにしてこの仕事にはまったのでしょう?
森井 スタートが問屋だったということも、今思えばよかったのかもしれません。デザイナーもいない、生産背景もない。そのような環境で「デザインってどうやってるのだろう」と勉強したり、工場を開拓するために一人で中国を放浪したりすることもありました。そうして目の前の仕事に真剣に向き合っているうちに、服にドはまりしていきましたね。
畑山 森井社長が10年以上もデザイナーとして活躍できているのは、問屋時代に考え、行動した「あがき」が糧になっているのかもしれませんね。