黒川 筆ペンで味のある字を絵のように描く筆文字のことで、その名前の通り自分だけの書ですね。ちょっとした書き方のポイントがあって、必ずこうしないといけないというルールはありませんので、自由に思いのままに楽しんで描けるんですよ。
濱中 いわゆる『書(しょ)』というと、しっかりした所作やルールが定められているイメージがあります。でも、己書は型にはまらないところが特徴なんですね。
黒川 そうなんです。文字の書き順や、とめ・はね・はらいといった書き方にとらわれることもありません。たとえ字の大きさやバランスが整っていなくても、味のある作品になるんです。
濱中 黒川先生は、もともと書道などを習っておられたんですか?
黒川 いえ、それが、小学生の頃に少しだけ習っていた程度でした。でも、ある時たまたま雑誌のページの片隅で小さく紹介されていた己書を見て、とても興味を抱きました。それですぐに己書を修得してみたいと思ったんですね。それが2018年夏頃で、私が己書と出逢ってから、今年2022年で5年目に入りますね。現在は、己書の協会である日本己書道場が認定する上席師範として、大阪府を中心に兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県といった関西圏で己書を教え、普及する活動を行っています。
濱中 それはすごいですね。でも、私はあまり字がきれいなほうではないので、難しそうに感じます。
濱中 お話を聞いていると、私も少し興味が沸いてきましたよ(笑)。教室は主にどのような場所で開催しておられるんですか?