プロフィール 埼玉県出身。運送業やハウスクリーニング業を経験したのち、父が立ち上げた白金抵抗素子の製造・販売を手がける(株)キプトに入社。3代目代表取締役に就任する。前任者から社長職を引き継いだ後も、製品の品質と小ロットからでも製造依頼を受ける柔軟性を守り続けてきた。現在は国内企業との提携や海外進出を視野に、製品認知度の向上に努めている。【ホームページ】
高い精度を誇る温度測定装置・白金測温抵抗体。その温度を感知する、測温抵抗体の心臓部といえる白金抵抗素子を30年以上にわたり製造しているのが株式会社キプトだ。同社製品の最大の特長はその品質の高さ。ミリ単位の狂いも許されない緻密な作業を丁寧に行うことで、量産品にはないクオリティを誇っている。同社の吉野智宏代表取締役の目標は、白金抵抗素子の認知度を上げ、より広く社会で役立てること。その熱い思いに迫った。
白金抵抗素子を製造して30年以上
吉野 ええ。1990年に設立して以来、白金抵抗素子を専門に製造する会社として、時代の変化に順応しながら製品を生産してまいりました。お客様のご支援があったからこそ、これほど長く続けてこられたと思っております。
石黒 その白金抵抗素子とは、どういったものなのでしょう?
吉野 白金測温抵抗体という、白金の電気抵抗が温度によって変化する特性を用い、その電気抵抗を測定することで温度を計る装置があります。白金抵抗素子とは、その白金測温抵抗体の温度を感知する、いわゆるセンサーです。白金抵抗素子自体は内部に組み込まれていて、露出しているものではないため、一般には馴染みがないかもしれませんね。でも白金測温抵抗体の心臓部ともいえる、貴重な素材なんですよ。
石黒 なるほど。私も初めて聞く製品ですし、御社のように白金抵抗素子を製造している会社も少なそうです。
吉野 おっしゃる通りで、専門に白金抵抗素子をつくっている会社は全国でもほとんどありません。それに、日本に出回っている製品は、ほとんど海外製ですからね。そんな中、私たちは、量産品にはない高品質な製品をご提供し続け、これまで多くの実績を築いてきたんです。