山口 生活全般の介護をする点は同じですね。ただ、社会活動に参加するお手伝いもサービスの一環となります。例えば、就労施設に通われる方を送迎したり、一緒に買い物に行ったりお茶を飲んだりと、利用者様が社会と交わるためのお手伝いもいたします。また、利用者様はお若い方も多いので、高齢者の方々に比べて体格がよく、介護に力が必要なケースが多いことも違いとして挙げられますね。
石黒 なるほど。体の大きな利用者さんだと、入浴のお手伝いも大変でしょうね。
山口 そうですね。利用者様の入浴やおむつ交換は、通常は同性のヘルパーが介護を行うのが原則です。ところが、男性ヘルパーは数が少ないので、男性の利用者様への対応が業界の課題になっています。
石黒 確かに、私の祖母が入居している老人ホームも、スタッフの7~8割は女性です。
山口 ご存じのとおり、介護の仕事は内容の割には収入が少ないことが多いです。そのため、一家を養う必要のある男性にとっては、ヘルパーで一生食べていくのは難しい現状がある。しかし私は、そんな業界の問題を解消したいと考えており、男性ヘルパーも積極的に雇用しているんです。
石黒 私の知人にも障がい児を育てているママや親の介護をしている人がいます。話を聞くと、男性の力が必要な場面ってたくさんあるようです。車から車椅子を上げ下ろしするだけでも毎日となれば重労働。恒常的に男性の力が借りられればと思うこともしばしばあるみたいですね。
石黒 需要に供給が追いついていないのは、きっと他の地域でも同じなのでしょうね。
山口 はい。ですから、当施設の運営が軌道に乗ったら別の地域にも拠点を増やしたいです。