石材加工から出発して明治以来の家業を継ぐ
柳 はい。石材店を始めたのは私の曾祖父で、実家があった隣の久喜市から白岡に出てきて開業したと聞いています。
杉田 つまり、現在は4代目というわけですね。これだけ歴史のあるお店だと、いつかはお父様の後を継ぐのだと早いうちから心積もりしていたのでは?
柳 実はそうでもなくて。私は初め、よその工場で石材の加工職人として働いていたんです。
杉田 同じく石を扱う仕事でも、販売ではなく、石を切ったり削ったりするほうのお仕事ですか?
柳 はい、お寺さんと直におつき合いさせていただいている町の石材店を営む者としては、異色の経歴かもしれません。家の仕事を最初に手伝ったのは、高校2年の夏、父がヘルニアを患って受けていた仕事が2ヶ月間ストップした時でした。父はそれ以前から無理に継がなくたっていいと言っていました。お墓やご先祖の供養への考え方が時代と共に変化してきて、新たに墓石を立てる需要も昔に比べて小さくなる中、業界の将来を悲観していたようですね。だから自分の代で店を畳むことになっても構わない、と言っていました。