城 小金谷代表が皮革業界へ入ったきっかけは何だったんですか?
小金谷 もともと革細工が好きで、大学の時に趣味の延長で加工のアルバイトを始めたのがきっかけです。それから約8年、親方の下で修業をした経験が基礎となって今につながっているので、親方にはとても感謝しています。
城 修業というのは、どんなことから始めたんでしょう。
小金谷 革を縫製する前の、両面テープによる仮止め作業から始めました。テープの幅は3mm、5mmとミリ単位。そんなミリ単位の感覚を体で覚えろと、半年間ひたすらテープを貼り続けました。おかげで感覚が体に染みつきましたね。その後は糊引きやへり返しという基礎を叩き込んでもらって、財布が1本つくれるまでになりました。
城 ミリ単位というのがすごいですよね。
小金谷 財布だと1mmのズレでカードが入らなくなるんです。縫製も糸1本ぶんの感覚が勝負です。
城 日本人ならではだな。海外に行くと、日本人のキメ細かさが反映された “Made in JAPAN” 製品はまさに伝統文化です。実はぼくも革製品が大好きなんですよ。何年も持ち続けると持っている人の “味” が出てくるところが魅力的で、財布は20個ほど持っています。TPOに合わせて楽しんでいますよ。
小金谷 ファッション感覚で財布を持ってくださっているのは嬉しいですね。私も財布を洋服のように一つのファッションとして捉えてほしいんです。そのためにも、お客様のオーダーには、お客様が思い描いている以上の物をつくって差し上げようと心がけています。そんな姿勢が評価され、某大手革製品メーカーのOEM生産も受注できているんだと思います。
城 聞いた話では、この業界は高齢化が進んでいるそうですね。
小金谷 はい。革製品の職人は、若い人で50歳後半。ほとんど70歳前後の人です。
城 そんな業界で、今年2013年でまだ29歳なのに頭角を現しているとは、将来が頼もしいです。
小金谷 私自身は好きなことをしているだけなんですけどね(笑)。それを理解してくれて、仕事まで手伝ってくれている妻には本当に感謝しています。だからこの工房を成功させて、将来的には従業員を10人ほど集めて工場にしたいですね。10~20年後は国内で革製品がつくれないと言われているので、今のうちに私が親方から受け継いだ技術と、業界の魅力を次世代に伝えることが、職人としての使命だと思っています。頑張りますよ!
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小金谷工房
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