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コラム 世界珍写行の発想術 vol.14 世界珍紀行の発想術 クリエイティブディレクター

コラム
 
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地中深くを
トロッコでゴォーーー!
 
 
ご覧の写真は、ディズニーやユニバーサルなんかの貼りぼてフェイクではありません。
2年ほど前、レンタカーをアムステルダムで借りて、クロアチアを経由して中央ヨーロッパを一周ひとりで走ってみた。基本、英語はあまりできない。ヨーロッパの道をクルマ運転するのも初めて。地図もいっぱい買って行ったし、多国言語の電子辞書も手に入れた。旅のバイブル『地球の歩き方』も、国の数だけ買った。シガーソケットを電源に使えるかもわからないまま、結局、
頼れるのはiPhoneひとつ、という状況で、けっこう危機一髪がいっぱいいっぱいな旅ではあった。
 
 
ほんの2週間足らず、ほとんどクルマを運転している時間だったけど、ちょっとずつその国に触れて、びっくりしたり、感激したり、戸惑ったり。訪れた国はオランダ、ベルギー、ドイツ、オーストリア、スロベニア、クロアチア、チェコ、そしてオランダの振り出しに戻る。
で、帰国したその頃、どこの国がよかったですか? と、よく聞かれた。
迷わず、スロベニア、と答えた。
なんでだろ? 自分でもよくわからないけど、スロベニアは、まだ手つかずの国、というか、手つかずの自然、街、人、という印象だった。ひょっとすると、ヨーロッパ的にもノーマークな国、あまり価値を評価されていなんじゃないだろうか。
 
期待したクロアチアは、すんごい洗練されたアドリア海の海岸リゾートになっていて、そりゃ違うんだけど、スペインやイタリアのリゾートと印象が近かったな、滞在できる時間が少なかったから尚更だろうね、
実際は、政府の発表でも、国境近くには地雷地帯がつづくから近づくな、という警告もでていたもんな。
 
 
でね、スロベニアは、とにかくなんと言っても鍾乳洞がとてつもない、もう山口県の秋芳洞が、蟻の掘った穴、程度にしか感じないぐらいのスケール。度肝を抜かれる。
なんつっても、トロッコに乗って、地中深くへ! だよ。
ライトアップされさまざまに見たこともない色で輝く地球の鉱物たちを眺めながら、
ゴーーーー!!!!!!
 
すごいよね、まるでインディージョーンズだよね、なかなかこんな発想、できないよね。
そして、わかったのは、あれはトロッコでないと無理、
面白さもそうだけど、親切心w。トロッコはしばらく走って、まるで世界中の文様を集めたような色とりどりの鉱物の大広間、巨大空間で停まり、そこからは文字通り、歩くのだ、そこからが本番だもん。噂だと、このトロッコのおかげで、自然遺産にはなれないみたいw、人工物が介在してるから。地元の人たちには深刻かもだけど、ちょっと笑える。
 
 
でも、そんな自然遺産なんて、蹴飛ばしてる感じもする。
だって、あの鍾乳洞は、どうであろうが世界有数の存在感としてそこにあるし、現に、世界中からその鍾乳洞めざして老若男女が集まってる。
トロッコに乗る、という行為も、なんか地中大冒険のアトラクション的なニュアンスもプラスされてワクワク感がはんぱないもんね。
あれが鍾乳洞だけだとすると、楽しめる人はきっと限られるんじゃないかな。
あんな地中の真ん中まで歩いてなんて行けないし、
ちょっとマニアックな感じだし、
乱暴に言えばバカっぽい楽しさや驚きに欠けるでしょ。
 
 
自分の価値を加速させる大胆なアイデアをプラスしてみることで、価値はさらに強固になるし、
他の観光地とはまったく違うたのしさ、に印象づけるんだろうな。
 
 
 
 
(今回のキーワード)
アイデアの積み重ねが
固有の価値を
強固にする
 
 
 
 

 執筆者プロフィール 

永澤仁 Hitoshi Nagasawa
クリエイティブディレクター/run!run!! planning!!! 海の家 店主

 
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 経 歴 

セブン-イレブン(忌野清志郎さんが歌うブランドの根幹を担う「近くて便利」コミュニーケーション)、バイク王(雨上がり決死隊バージョン)、キリン氷結(発売から6年間)、シチズン(広告&商品開発)など数々のクリエイティブを責任者として手がけ、そのすべてをジャンプアップさせた実績を持つ。競合プレゼンでは独創的なスタイルで3年半無敗を記録。受賞歴は国内外100以上。強い、正しい、面白い! 国も地域も企業も商品もお店も人も、めざすゆたかな高みへ。

オフィシャルホームページ  http://umino-ie.jp
フェイスブック (個人) https://www.facebook.com/hitoshi.nagasawa.35
フェイスブック (海の家) https://www.facebook.com/uminoie777

 
 
(2015.2.25)
 
 
 

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