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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 

積み重ねてきた経験が
演じる役に厚みを持たせる

 
1975年のデビューから、42年もの間俳優として活躍されている岩城滉一さん。プライベートでは“趣味の人”としても知られ、バイクレースのチーム「チームイワキ」を立ち上げ、選手としてバイクレースに出場。昨年の「もてぎオープン 7時間耐久ロードレース」では優勝を果たしている。「決して仕事のためにやっているわけではないが、趣味は演技の表現の幅を広げる」と語る岩城さんに、趣味が仕事にもたらす影響や、俳優の仕事に対する考え方などについてうかがった。
 
 

自然体のまま演じることが長く続けるコツ

 
僕が俳優の仕事を始めてから、もう42年が経ちます。デビュー当時は映画の撮影と言っても、日常の延長線上にあるものだった。僕らの日常をそのまま映し出している感覚でしたね。だから、演技を学ぶということもありませんでした。僕はもともと俳優を目指していたわけではないし、まったく別の仕事をしていましたので、「適当でいいじゃん」というスタンスで始めた部分もあります。でも、そういうスタンスのほうが、長く芸能界で仕事を続けていけるのかなと感じています。
 
「役者馬鹿」と言われる俳優は多いですよね。そう言われている方々は、どんな業種の仕事でもこなせるんじゃないかなと思います。高倉健さんが生命保険のCMで言った、「自分、不器用ですから」という有名なセリフがありますよね。不器用だったら、お芝居なんてできませんよ(笑)。おかしくもないのに笑ったり、悲しくもないのに泣いたりできるのは、とても器用だから。役者馬鹿と言われている方々は、たまたまこの仕事を続けているというだけで、きっと俳優の仕事がなくなっても困らないんじゃないかな?
 
あとは、いろんなイメージを持たれることも多いですね。僕は、自分についたイメージを守り続けていくのは、役者としてあまり良い選択ではないと考えています。例えば、任侠映画ばかりに出演していた役者が、病院ドラマの医師の役をやることになったとき、仁侠映画のイメージは邪魔になると思うんです。でも、そこで素晴らしい医師を演じることができれば、演技に幅のある良い役者と評価していただくこともあるでしょう。この仕事を長く続けるには、そうやって自分についているイメージを壊しながら前に進んでいくことが大切だと思っています。
 
ただ、僕は“役づくり”というものは全くしていなくて。例えば学校教師を演じるとなったときは、「俺が学校の先生だったら、どういう先生だろう」と考えるんです。監督やプロデューサーは、岩城滉一という人間が学校の先生をやっていたらおもしろそうだと考えて、僕をキャスティングしてくれているはずですからね。どういった理由で自分が選ばれたのかを理解して、それに俳優として応える。それがものづくりだと、僕は思います。
 
もちろん、中には「この役は演じるのが難しそうだ」と感じるものもあります。僕はお話をいただいたときに無理そうだなと思ったら、すぐに断るようにしているんです。最近は、長いセリフシーンのあるテレビドラマが流行していますよね。僕なんて、朝食に何を食べたかすらその日のうちに忘れるのに、無理だよ(笑)。無理だとわかっていることは、迷惑をかける前に早めに判断することです。あくまで自然体のまま言葉を発せられないと、リアリティがなくなってしまうしね。
 
 
 
 
 

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