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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
演劇の魅力について聞くと、宮本さんは「人を探っていく楽しさがある」と語ってくれた。演劇を通じて感じたことを多くの人に伝え、その経験を今後また演劇に生かしていきたいのだという。
 
 

人が人を思い合うのが演劇

 
僕は今後、もっと自分の中の演劇の多様さを深めていきたいし、より多くのリアルな声を聞きたいと思っています。以前、『チョコレートドーナツ』というゲイの男性がダウン症のある子どもを育てる内容の演劇を手がけました。その子役は、実際にダウン症のある子に演じてもらったんですよ。
 
役者もスタッフも、もちろん僕自身もその舞台を通じて本当に多くのことを学びました。稽古をする中で、普段と違う方法を取らなければいけないことも多かったですね。その理由を障がいと言ってしまうのは簡単です。でも、普段から「いつもこのペースだから」と誰かに押し付けているんじゃないかと気付かされましたよ。
 
今までは知らないことを、つい知らないままに済ませてしまっていたけど、それではいけないんだと思いましたね。自分に関わりのある範囲だけで生活していると、いつの間にか大きく見失っているものがあるかもしれません。勉強し、知っていく中で学べることはたくさんありますよ。
 
演劇の楽しさは、人を深掘りしていくこと。「この人は、本当はこう思っていたのかもしれない」と考えさせられることが魅力ですね。中にはつらいシーンもありますが、演劇を通じて希望を持ってもらえると思っています。僕自身、観劇することで現実に希望が持てて、救われてきました。人が人のことを思い合えるのが、演劇の魅力であり楽しさですね。
 
 
(インタビュー・文 中野夢菜/写真 Nori)
 
 
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宮本亞門(みやもと あもん)
1958年生まれ 東京都出身
 
1987年、『アイ・ガット・マーマン』で演出家デビュー。翌年には文化庁芸術賞を受賞する。2004年にはオン・ブロードウェイでミュージカル『太平洋序曲』を上演。ジャンルを問わず多岐にわたる作品を手がけている。2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で「上を向いて歩こう」を歌い踊りつむぐ「上を向いて」プロジェクトをオンラインで立ち上げた。近著に、自身のがん経験などを書いた『上を向いて生きる』(幻冬舎)がある。
 
Twitter
https://twitter.com/amonmiyamoto
「上を向いてプロジェクト」
https://uewomuite-project.squarespace.com/
 
 
(取材:2021年9月)

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