嶋　もう一つ、佐藤社長は「コトタマ」というものを大事にしているそうですね。
 
佐藤　ええ、コロナ禍で、今まで当たり前のように行っていた個人へのケアが難しくなりました。でもそのおかげで、「もっと多くの方の役に立ちたい、そのために何ができるだろう」と考え始めましてね。そうやって模索していたときに出会ったのがコトタマです。
 
嶋　耳馴染みの薄い言葉なので、わかりやすく教えていただきたいです。
 
佐藤　縄文時代の精神的に豊かな教えを後世に残すため、その知識を当時の天皇が「コトタマ」に秘したとの説があります。それが埋もれてしまわぬよう、『古事記』の中に、その内容が紡がれているそうです。つまり『古事記』の中身が神話というのはカモフラージュで、その中には縄文人の暮らしのエッセンス、今で言うマニュアルのような情報が詰め込まれていると言われているんです。
 
嶋　知的財産みたいなものでしょうか。何とも奥深いお話です。
 
佐藤　「言霊学」というものがあって、日本語の「あいうえお」の一音一音がコトタマで、それぞれの音に意味が練り込まれているという考えのもと、人心の謎を解き明かした学問なんです。よく50音と言いますよね？　同じく人の心にも50の要素が備わっていると考えられていて、その心の要素に、今使われている50音を対にして名前にしたそうです。私もまだまだ勉強中ですけどね。
 
嶋　お話を聞いて思い出しました。実は昔から、漢字の成り立ちにとても興味があるんです。「始まる」が女に台と書くように、世界は女性から始まるとする説など、そういうことを知るのが好きなんですよ。興味を持つと、深く学びたくなるものです。佐藤社長も、絶えず学びを深めているんですね。