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スペシャルインタビューSPECIAL INTERVIEW

 
「何かアクシデントが起きても関西弁が操れるように」と話す佐々木さん。これまでに出演した舞台で起きたアクシデントは、「言い始めたらキリがない」という。
 
 

適度な緊張感で“ゆるめ”に取り組む

 
アクシデントを避けるため、準備は念入りに行っています。リスクを避けるように事前に準備することによって防げることもありますし、何か起きた場合でもすぐにリカバリーできることも。舞台上でのアクシデントに対しては、経験を積む中で対処できることが増えてきたのかなと感じます。ただ、平穏無事に終える舞台なんて、かつて経験したことがありませんね。
 
稽古中と本番中は、とにかく体調管理には注意します。声を枯らさないように自室に加湿器を置いたり、体のメンテナンスのために鍼灸院に通ったり。そうやって自分の体に気を遣うことはとても大切なことです。僕が舞台に出演するのは年に1回ほど。年間通して舞台活動をしている方は本当にスゴイと思います。
 
ただ、ずっと気を張っていると体が持ちません。僕は“ゆるめ”で取り組むのが良いかなと思っています。スタッフの方々やキャストのみなさんの中には、初めて会う方もいます。その中で、「しまっていこうぜ」ではなく「ゆるめでいこうぜ」と伝えていきたいですね(笑)。
 
それは、例えば会社勤めであっても似たところがあるのではないでしょうか。同じ組織の人間であっても、いきなり肩を組んで働くというのは難しいですよね。徐々に距離を詰めてお互いを信頼できるようになれば良いと思います。ただ、常に緊張感があって厳しい環境だと、距離を詰める機会も少ないでしょう。だからこそゆるめに、適度な緊張感を持ちつつ仕事に取り組めたら良いですね。
 
 
佐渡島他吉を演じるうえで、ご自身とはどのような共通点があるかとうかがうと、「ないですね」と即答した佐々木さん。役づくりについてのお考えもお聞きした。
 

観客とともに舞台を作り上げる

 
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舞台作品に出演するうえでの楽しさの一つは、ライブで観客の方々の反応を感じられるところです。その中でも一番わかりやすく反応を感じられるのが、「笑い」だと思います。笑い声として伝わってきますからね。『佐渡島他吉の生涯』は前知識が何もなくても、観たまま楽しめる芝居。劇場全体で笑いを共有することで、皆さんと一緒に舞台を作り上げていけたら。
 
一緒に作り上げるのは舞台だけではなく、役も同じだと思っています。僕は役づくりにおいて、自分と演じる役に共通点を見つけることはせず、むしろ自分とは違う点を探します。その作業の途中で自分と通じる部分が見つかることもありますが、基本は“違うことを考えることで、役が仕上がっていく”のだと思っています。舞台はダイレクトに反応が返ってくるので、お客さんに役を育ててもらうこともあります。そうして一緒に他吉をつくり上げていければ良いなと思っています。
 
また、役を演じるうえではオンとオフをはっきりすることも大切にしています。僕の場合は役柄に入りきってその人物を引きずるタイプではないので、フラットにオフになれます。それは稽古中でも同じです。ずっと他吉のように勢いのある状態でいられたら、周りの人も困るでしょう(笑)。オンとオフの付け方は、経験を積むと共にわかるようになってきました。
 
そういった客観的な視点は、職業問わずみなさん持っていると思います。僕にとっては「他吉を演じているときの自分」がいるように、皆さんも「上司と会っているときの自分」や「同期と会っているときの自分」をつくって演じている部分があるのではないでしょうか。他社といる自分と、家に一人でいるときの自分も当然違いますもんね。